こんにちは、まちエネです。
みなさんの中には、去年の同じ月とそれほど電気使用量が変わっていないのに、「今年の電気料金は高いな(または安いな)」と感じたことがある方が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
そもそも電気代はどうやって決まるのか。電気代の求め方、その計算方法について詳しく知っているでしょうか。
今回は、そんな電気料金の不思議について解説したいと思います。普段使っている家電製品の電気代や、電気料金の計算方法を知ることで、効率よく電気代の節約ができます。
みなさんの生活スタイルと電気代が決まる仕組みを照らし合わせることで、より生活にマッチした料金プランへの変更も考えていくことができます。
電気代の計算方法
まずは電気代の計算式を確認しましょう。
電気代は
「1時間あたりの消費電力(kW)×使用時間(時間)×料金単価(円/kWh)」
で求められます。
この消費電力は製品ごとに異なっていますので、あらかじめ確認するようにしましょう。
電力の単位とその意味

電力の単位には、さまざまなものが存在し、消費電力を正確に計算するためにはそれらの単位とその意味を理解しておくことが不可欠です。
以下では、消費電力に関連する単位とその説明を紹介いたします。
W(ワット)
- 消費電力を表す単位で、単位時間あたりに消費される電気エネルギーを示します。
- 電化製品の消費電力は通常ワット(W)で表記されます。
- 高いワット数は、より多くのエネルギーを必要とすることを示します。例えば、電球のワット数が大きいほど、明るさを維持するためにより多くのエネルギーを消費します。
- 消費電力(W)は以下の計算式で求められます
W(ワット)=A(アンペア)×V(ボルト)
kW(キロワット)
- キロワット(kW)も消費電力を表す単位で、1kWは1,000Wに相当します。これは、重さを表すkgや長さを表すkmと同じような考え方です。
- 例えば、1.5kWは1,500Wを指します。
Wh(ワットアワー)
- 電気代を計算するために必要なのが「消費電力量」で、その単位はWh(ワットアワー)です。
- 消費電力量は、消費電力に使用時間をかけることで計算されます。
kWh(キロワットアワー)
- kWh(キロワットアワー)も消費電力量を表し、1kW(=1,000W)の電力を1時間使用した場合の電力量を指します。
- 電力会社の請求書や電力メーターに表示されることがあり、一般的な単位として知られています。電気料金も通常、1kWhあたりの単価が表示されます。
V(ボルト)
- V(ボルト)は電圧を表す単位で、一般家庭では通常100Vを使用しますが、業務用電化製品には200V仕様もあります。
- 電圧は国によって異なり、異なる電圧の国で日本の電化製品を使用する場合、電圧変換器が必要です。ボルト(V)は以下の計算式で求められます:V(ボルト)=W(ワット)÷A(アンペア)
A(アンペア)
- A(アンペア)は電流の強さを表す単位で、電力会社との契約において、アンペア数を選択できます(10A、15A、20A、30A、40A、50A、60Aなど)。
- アンペア数が大きいほど、同時に多くの電化製品を使用できますが、契約アンペア数を超える場合は電源が遮断されます。
- 複数の電化製品を同時に使用する場合、契約アンペア数に留意することが重要です。アンペア(A)は以下の計算式で求められます:A(アンペア)=W(ワット)÷V(ボルト)
消費電力の確認方法
消費電力は電化製品のカタログや仕様書に掲載されていますが、その際に留意すべき点は、掲載されている消費電力が最大値であるということです。
また、日常の使用状況が変動するため、カタログや仕様書に掲載されている消費電力をもとに、個別のご家庭で正確な電気代を計算するのは難しい状況があります。より実際の消費に合致した電気代を知りたい場合は、消費電力測定器(ワットチェッカー)の活用が一つの方法として考えられます。
各電化製品の電気代

電気代の目安は多くの要因に影響を受けますが、一般的な目安を提供します。
以下の前提条件に基づいて、エアコン、冷蔵庫、照明器具の電気代の一か月分のおおよその計算を行ってみます。
- 家族構成: 両親と子供2人の合計4人
- エアコン: 毎日8時間稼働
- 冷蔵庫: 1日中稼働
- 照明器具: 蛍光灯を毎日8時間点灯
- 1kWhあたり25円
エアコン
通常、エアコンの消費電力はモデルに依存しますが、例えば1,000W(1kW)と仮定します。
消費電力は1kW x 8時間 x 31日 = 248kWh。電気代は248kWh x 25円/kWh = 6,200円となります。
冷蔵庫
一般的に、冷蔵庫の消費電力は約150Wから200W程度ですが、具体的なモデルによって異なります。今回は200Wと仮定しましょう。
消費電力は200W x 24時間 x 31日 = 148.8kWh。電気代は148.8kWh x 25円/kWh = 3,720円となります。
照明器具
照明器具は蛍光灯を使用し、1つの蛍光灯が約40W程度と仮定します。8時間点灯する場合、1つの照明器具は0.32kWh消費します。
消費電力は40W x 8時間 x 31日 = 9.92kWh。電気代は9.92kWh x 25円/kWh = 248円。照明器具はひとつだけではないかとおもいますので、仮に3つ分と想定すると×3となり744円になります。
電気料金のしくみ
以上のように電化製品ごとの消費電力から電気代は計算されていますが、それですべてではありません。
一般的な月々の電気代は、契約容量によって決まる基本料金(または最低料金)と、毎月の使用電力量に応じて計算する電力量料金に、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)を加えた合計金額で決まります。
電気代=基本料金+電力量料金±燃料調整費+再エネ賦課金

燃料費調整額は発電における燃料費の変動を考慮した料金です。再エネ賦課金は再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づいて、電気の使用者全体で分担される負担です。
これらの要素を組み合わせた金額が、月々の電気料金の一部となります。
燃料費調整額について
日本では火力発電が主流ですが、その火力発電において、電力生成に必要な原油、LNG、石炭などの燃料は必須です。これらの燃料はすべて輸入に依存しており、その価格は燃料自体の価格や為替レートなどによって絶えず変動しています。
この価格変動を調整するために、燃料費調整額が設定されています。これは、飛行機の燃油サーチャージと同じようなアイデアです。
したがって、たとえ前年の4月と同じ電力使用量を持っていたとしても、今年の4月に燃料費調整額が増加した場合、電気料金もそれに応じて増加する仕組みです。
参考:燃料費調整制度について 経済産業省 資源エネルギー庁 電気料金について
燃料調整費額についてはコラム「電気代の「燃料費調整額」って何?」にてご紹介しております。
再エネ賦課金について

再エネ賦課金は正式には再生可能エネルギー発電促進賦課金といいます。
日本では、再生可能エネルギー発電の普及と拡大を目的に、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの発電事業者に対して国から補助金が支給されています。
この補助金を「再エネ賦課金」として国民が負担するため、毎月の電気料金に追加されているのです。
「再エネ賦課金」単価は全国一律に毎年設定されます。たとえ電気の使用量が昨年と同じだったとしても、「再エネ賦課金」単価が値上がりした場合は電気料金も高くなるというわけです。
参考:再生可能エネルギー発電促進賦課金とは 経済産業省 資源エネルギー庁 FIT・FIP制度
再エネ賦課金についてはコラム「再エネ賦課金とは?仕組みをわかりやすく解説!」にてご紹介しております。
電力会社によって異なる料金体系
同じ電化製品を、同じようなライフスタイルで使っているのに、お引越ししたら電気代が上がったり下がったりしたことはないでしょうか。
これは、電力会社によって異なる基本料金(最低料金)、電力量料金、そして割引内容が存在するためです。近年は電力小売自由化に伴い、自身や家族の生活スタイルに合ったプランを選びやすくなりました。
「まちエネ」では昼間や夜間の電気代が安くなるプランやEV・PHEV(電気自動車)をご利用の方におトクなプランをご用意しております。
さまざまな電力会社から多様なプランが出ておりますので、ご自身のライフスタイルに合わせたプランを検討し、電気料金をより安くできるプランへの切替えも検討してみましょう。
今の電気代、電気使用量を確認しましょう
電気代を節約しようと思っても、毎月の電気代がどれくらいか分からないという人は案外多くいらっしゃいます。
電気代は通常、口座振替やクレジットカードで支払われることが多く、現金が直接出ていくわけではないため、気にかけないことがあります。節約の第一歩として、まずは現在の電気代を確認することが大切です。

電気代を確認する最も簡単な方法は、電力会社から提供される「検針票(電気ご使用量のお知らせ)」を見ることです。
この検針票には、約1カ月分の請求額が明記されています。ただし、検針のタイミングによって日数が異なることがあるため、必ずしも30日分または31日分の電気代とは限らないことに留意しましょう。
年間を通してどの月が電気代が高くなりがちか、「電気代が高いのは夏or冬?使う電気の量以外にも気を付けるポイント」にてご紹介しておりますので、参考にしてみてください。
電気代節約の方法
節約といっても、エアコンをつけずに暑さや寒さを我慢するような、QOL(Quality of Life:生活の質)をさげてしまうことはおすすめできません。快適にライフスタイルを維持しながら、効率よく電気代の節約をめざしましょう。
消費電力が大きい電化製品は短時間だけ利用する
家庭の電化製品には、消費電力が高いものと低いものがあります。通常、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品は高い消費電力を持つ傾向があります。
電気代を効果的に節約するためには、特に消費電力が高い電化製品の使用頻度を減らすか、使用時間を短縮すると効果的です。
例えば、
- エアコンではなく扇風機を使用する(エアコンの電気代と節約方法はこちらのコラムで詳しくご案内しています)
- 冷蔵庫をエコモードに設定する(冷蔵庫の電気代と節約方法についてはこちらのコラムをご確認ください)
- 洗濯機の乾燥機能を雨の日や冷季に限定し、晴れた日には洗濯物を外干しにする(洗濯機の電気代と節約方法はこちらのコラムをご確認ください)
など、電気使用量を削減する方法が考えられます。
暖房装置を選ぶ際には、サーモスタットが付いているものを選び、過度な温度上昇を防ぎつつ電気代を節約できます。
電気料金プランの見直し
節約の工夫といっても「電化製品の使い方を変更したくない」 「ライフスタイルを変えたくない」という方も多いと思います。
そんな時は電気料金プランの見直しを考えてみましょう。

従来は住んでいる場所に基いて、契約できる電力会社が決まっていましたが、2016年からの電力小売自由化により、電力会社や料金プランを自由に選ぶことが可能になりました。
競争が活発化し、新しい電力会社がおトクなプランを提供しています。肝心なのは、自分がどの時間帯にどの電化製品を頻繁に使用しているかを把握することです。
新しい電力会社は、深夜時間帯など特定の時間帯の電気料金が安くなるなど、多種多様なプランを提供しています。しかし自分のライフスタイルに適さないプランを選択すると、逆に高い料金を支払う可能性があることに注意してください。
節約に最適なプランを見つけるために、シミュレーションを実施したり、問い合わせ窓口でアドバイスを受けることがおすすめです。
消費電力や電気料金の計算の仕組みの把握だけでなく、自分にあった電力プランを見つけましょう!