こんにちは、みんなの暮らしを電気のチカラで応援する「まちエネ」です。
ここ数年、台風や大雨による大規模な災害が立て続けに起こったことで、「災害が起こることを想定し、日ごろからしっかりと備えておくこと」への興味関心が高まっているように感じます。
そうした状況を受けて「もしもの時」に備えつつ、日常を豊かにするような製品やサービスなどが増えています。
2019年の台風15号や19号、また2021年の秋田豪雪などで、被災地における非常用電源として活躍した電気自動車(EV・PHEV)はその代表格と言えるでしょう。
EV、PHEVは災害時・停電時の頼れる存在
電気自動車(EV・PHEV)は災害時の緊急電源として非常に頼りになります。
電池容量が大きく、長時間の使用が可能であり、騒音や有害排気ガスを発生しません。
また、必要な場所まで自走して電力供給ができるため、災害時において多くの利点があります。
実際に停電時に電気自動車(EV・PHEV)が電力供給の役割を果たす事例も存在します。
EV・PHEVの災害・停電時の活躍事例
2019年の台風15号の際、千葉県内の被災地では停電が長引いた状況で、自動車メーカー各社が電気自動車(EV・PHEV)を派遣しました。
これらの電気自動車(EV・PHEV)は、被災地での電力供給に大いに役立ち、様々な用途に活用されました。
その後も2020年の九州豪雨、2021年の秋田豪雪など、災害時には電気自動車が被災地に派遣され、電源供給のために活躍しています。
以下は被災地での電気自動車活用の例です:
- 携帯電話の充電:
電気自動車(EV・PHEV)のバッテリーは、携帯電話などの電子機器の充電に使用されました。これは、被災地の住民が連絡を取ったり、避難情報を受け取るために非常に重要でした。 - 家電製品の動作:
電気自動車(EV・PHEV)は、エアコン、扇風機、冷蔵庫、洗濯機など、日常生活に不可欠な家電製品の動作を支援しました。これにより、被災者の生活の負担が軽減されました。 - 夜間照明:
電気自動車(EV・PHEV)は夜間の照明を提供し、被災地域の安全性を確保しました。暗闇の中での生活においては、明かりが非常に重要です。 - 地下水汲み上げポンプ:
電気自動車(EV・PHEV)は、地下水を汲み上げるためのポンプにも電力供給を行い、飲料水や生活用水の確保に寄与しました。
これらの電気自動車(EV・PHEV)は、停電による被災生活の困難さを軽減し、被災地域における復旧作業や避難生活を支援するために導入されました。
その結果、電気自動車(EV・PHEV)は非常用電源として有用性を示し、災害時の電力供給に対する新たな選択肢となりました。
参考:災害時には電動車が命綱に!?xEVの非常用電源としての活用法 経済産業省 資源エネルギー庁 2020-09-02
電気自動車(EV・PHEV)は電池容量が大きいだけでなく、車そのものが蓄電池として機能します。
これは、被災時に車で避難する場合でも、避難中や避難所で「大容量の電源が利用可能である」という安心感を提供します。
また近年は、自治体と自動車メーカーが協力して、停電時にEVを避難所などに提供する「災害連携協定」を結ぶケースが増加しており、防災と減災のために、行政、民間、そして個人が協力してEVの潜在能力を停電に備えて発揮しようとする傾向が見られます。
参考:新潟県と日産自動車、災害時のEV活用で連携 脱炭素でも 日本経済新聞 2023年9月8日 17:46
電気自動車(EV・PHEV)のオーナーであれば、車載の100Vコンセントを使用して停電時でも電子機器などを長時間にわたって使用することができます。
このように電気自動車(EV・PHEV)の存在は、災害や停電の際に自治体としてもそして個人としても非常時に頼りになることがあります。
電気自動車(EV・PHEV)からどのくらい生活に必要な電力を賄える?
では実際、電気自動車(EV・PHEV)でどのくらいの電力を賄うことができるのでしょうか。
電気自動車(EV・PHEV)をフル充電した状態で考えてみます。
環境省では1世帯が1年間に消費したエネルギーは、全国平均で電気が4,258kWhとされていますので、1日換算ですとおおよそ12kWhとなります。
軽自動車の乗用EVは20kWhですから、その場合少なくとも1~2日は電気自動車(EV・PHEV)から家庭用電力を確保できます。
60kWhのバッテリーを搭載したモデルであれば、およそ4~5日は生活に必要な電気を賄うことができるということになります。
参考:家庭のエネルギー事情を知る 「令和2年度家庭部門のCO2排出実態統計調査資料編(確報値)」 環境省
保有する電気自動車(EV・PHEV)のバッテリーにより異なるだけでなく、どのくらい電気を必要とするかでも、この計算は変わってきます。
普段から「生活の中でどれくらいの電気を必要としているか」を意識しておくようにしましょう。
災害・停電の際には必要最低限の生活水準に調整し、電気利用も工夫されると思いますので、節約して使用することで日数を伸ばすこともできます。
電気自動車(EV・PHEV)はこのように災害時・停電時の心強い味方ではありますが、そういった場面で必ず電気自動車(EV・PHEV)がご自宅やすぐに利用できる場所にあるとは限らないこと、十分な残量がない可能性もあること、は注意が必要です。
どうやって電気自動車(EV・PHEV)から給電する?
車内の100V電源コンセントを使用
EVやPHEVには、車内に100V電源コンセントが備えられていることがあります。
これを使用して、携帯電話や家電製品などを充電することができます。
急速充電口に特定の機器(V2H・V2L)をつけて給電
住宅に設置されたV2H(車両から家庭への電力供給)やV2L(車両から家電機器への電力供給)設備は、EVの充電ポートと接続して電力供給を行います。
この方法は、100V電源コンセントよりも高い出力を持ち、一般家庭や小規模オフィスの電力需要を賄うことができます。
V2H(vehicle to Home)
V2Hは自宅に設置するための工事が必要ですが、電気自動車(EV・PHEV)の電力を自宅全体に供給することが可能です。
また、電気自動車(EV・PHEV)を自宅用の蓄電池として活用する場合にもV2Hが使用されます。
ただし、V2Hはある意味、急速放電になるため電池の劣化を早める原因になりえます。
V2L(vehicle to Load)
いっぽう、V2Lは別途の機器が必要ですが、持ち運びが可能で、キャンプや災害時に複数の電化製品を駆動する際や非常用電源として役立ちます。
実際に電気自動車(EV・PHEV)から給電し、万一に備えておきましょう
ただし、こうした使い方ができるのを知っておくだけでなく、実際にやってみることこそ重要です。
もし、オーナーになったら、ご自身はもちろん家族全員で「万が一のときはこうやって電源を確保しよう」と訓練しておきましょう。
電気自動車(EV・PHEV)は、移動手段としてだけでなく、大容量の蓄電池としても高く評価されています。
ご紹介したような非常時の電力源になってくれるなど多彩な使い道があり、安心感を提供しています。
生活スタイルによって車の利用方法は異なりますが、電気自動車(EV・PHEV)の購入を考えている場合、国や自治体からの補助金など、EVに関する情報も充実していますので、それを参考に検討してみましょう。