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電気代の「燃料費調整額」をわかりやすく解説!
電力会社による違いとは?

電気料金の中に燃料費調整額が含まれています。燃料費調整額により月の電気代が上限していくことになります。

こんにちは、まちエネです。

みなさんは毎月の電気料金の請求の中に、「燃料費調整額」という項目が含まれているのをご存知でしょうか。

電気料金の内訳に入っているこの「燃料費調整額」は電気代が上下する原因の一つでもあります。

燃料費調整額をしっかりと理解しておくと、毎月の電気料金の理解が深まるだけでなく、エネルギー市場の動向、またご自身の電気の使用状況にかかわる節約のポイントが見えてくるでしょう。

今回は燃料費調整額について詳しくご紹介していきます。

電気料金の決まり方、計算式

改めてですが基本的な電気料金は下記の計算式のように、基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金などから成り立ちます。

電気代=基本料金+電力量料金±燃料調整額+再エネ賦課金

電気料金の決まり方については「なぜ電気代は高くなったり安くなったりするの?料金の仕組みから安くする方法を知ろう!」で詳しくご紹介していますので、ご参考ください。

燃料費調整制度を知ろう

火力発電の多い日本では燃料の調達コストの変動が、発電コストに大きく影響します。

計算式にある燃料費調整額とは、燃料価格の変動を電気代に反映させるために設定されているものです。

この仕組みを燃料費調整制度といい、日本ではほとんどの電力会社がこの制度を採用しています。

日本は発電において火力発電を多く使用しています。

火力発電はその燃料を輸入に頼っているため、燃料(原油、LNG、石炭)価格や為替相場の影響を大きく受けてしまいます。

燃料費調整制度がないと、燃料価格の高騰時にその損失を電力会社が被ることになります。

大きく変動する燃料費(発電コスト)は電力会社の企業努力だけではなくすことができません。

そこで経済情勢の変動に即座に対応し、かつ事業者の経営環境を安定させる目的で、燃料費調整制度が導入されました。

参考:経済産業省 資源エネルギー庁 電気料金について 燃料費調整制度について

燃料費調整額とは

燃料費調整額とは大まかに言うと、発電にかかる燃料費(発電コスト)のことです。燃料費調整額は以下の計算式によって計算されます。

燃料費調整額(円)= 燃料費調整単価(円) × 使用電力量(kWh)

電気代の内訳において、基本料金や電力量料金とは別項目になっている燃料費調整額は、「現在の電気料金を設定した時の燃料費」と「現時点の燃料費」の差分をプラスまたはマイナスして調整します。

電気料金を設定した時の燃料費よりも現在の燃料費が高騰していれば、燃料費調整額はプラスで計上され、逆に設定時よりも低くなっていれば、マイナスで計上されるという仕組みです。

燃料費調整単価について

燃料費調整単価は、原油・LNG・石炭の3か月平均価格である平均燃料価格から計算され、2か月後の電気料金に反映されることになっています。

例えば、5~7月の平均燃料価格は10月の燃料費調整単価に影響します。

電気料金をチェックするときには、「そこに記載されている燃料費調整額は3~5か月前の燃料市場の影響を受けている」ということを覚えておきましょう。

燃料費調整額で電気代がいくらでも高くなるわけではない

燃料費調整額により電気代が高くなったり安くなったりすることはご説明した通りですが、燃料価格がどれだけ高くなったとしても、それにつられて燃料費調整単価がいくらでも高くなるとは限りません。

電気料金プランの中には、この燃料費調整単価を求める際に使う、平均燃料価格に上限を設定しているプランもあります。

具体的には、電力自由化よりも前からある規制料金プランには上限があり、電力自由化後の自由料金プランは上限があるものとないものが混在しています。

上限は基準燃料価格の1.5倍とされています。

これは燃料価格の急激な上昇から消費者を守るために定められています。

そのため電力会社はいかに燃料の調達コストが高騰しても、それをすべて電気料金に反映することはできません。

平均燃料価格の上限に到達すると?

もし平均燃料価格がこの上限に到達した場合、本来は電気代に燃料費調整額として上乗せする部分のコストを、電力会社が自己負担することになります。

2023年には、世界的なエネルギー需要、また2022年のロシアによるウクライナ侵攻、さらには急激な円安を受けたことで大手電力会社10社すべてが平均燃料価格の上限に達してしまうという事態が起きました。

そこから各社は、規制料金の値上げによりその損失を埋めていくという措置をとることになりました。

参考:東京電力など大手電力7社 きょうから電気料金値上げ NHK 首都圏 NEWS WEB 6月01日 08時37分

また、電力各社は燃料費調整額の上限をなくす「上限撤廃」の動きを見せており、本来は自由化で価格競争が起き安価なメニューが増えるはずのところ、上限規制がある規制料金の方が安くなるかもしれないという状況になっています。

燃料費調整額の上限ありのプランがおトク?

こうした状況を見ると、燃料費調整額の上限のある規制料金への切り替えの方がおトクに感じられるかもしれませんが、一概にそうとも言えません。

自由料金プランは各家庭のライフスタイルに合わせたさまざまな料金プランがあり、電気をよく使う時間帯やEVの保有などによってはおトクな場合があります。

燃料費調整額の上限があるかないかだけでは比較・判断は難しいでしょう。

燃料費調整額について理解していくとともに、現在加入している電力プランがライフスタイルに合っているかも見直すことで、電気代の節約につながります。

一度、電気代の中の燃料費調整額と、電気の使い方や加入されているプランがマッチしているかチェックしてみてください。

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