近年、EV(電気自動車)の普及が進む中、その利便性や環境への配慮から自宅での充電が注目されています。自宅で充電することで、充電スポットを探す手間が省け、快適な生活を送りながら効率的に充電できます。
しかし、気になるのはその際の電気代。自宅の充電機器を利用してEV・PHEVを充電する際、発生する電気代は、契約している電力会社の料金プランによって変動します。
家庭の電気を利用してEV・PHEVを充電することで、毎月の電気代にどれくらいの影響があるのでしょうか?
自宅充電の基本:3つのタイプの充電設備
自宅でのEV・PHEV充電は、一般的にコンセント型、壁掛型、自立スタンド型の3つのタイプの充電器を設置して充電する方法があります。
コンセント型充電器は、そのシンプルな構造と小型サイズから、比較的設置場所を選ばず利用できます。また、コンセント自体は3,000円~1万円ほどと手ごろであり、自宅に充電設備を導入する際には、地方自治体の補助金が利用可能な場合があります。
補助金については一般社団法人次世代自動車振興センターのホームページで確認できますのでぜひチェックしてみてください。
壁付け型充電器は、ボックスやケーブルが付属しているもので15万円~であり、自立スタンド型よりも手頃な価格帯にあります。
特にケーブルが同梱されているタイプは、車載ケーブルを別途用意する手間が省け、充電作業がスムーズに行えます。さらに、ボックスタイプの充電器はケーブルの収納が可能で、ケーブルが見えないため、充電器周辺がとてもきれいに見えます。
商業施設などで一般的な自立スタンド型充電器は、その特長として、家から離れた場所にも柔軟に設置できることが挙げられ、特に家と駐車場の距離がある場合には利便性が高まります。
このタイプには、車載ケーブルを使用するコンセントタイプと、車載ケーブルが不要なケーブル付属タイプの両方が存在します。本体価格は25万円からとなっており、利用者のニーズに合わせた柔軟な充電が可能です。
消費電力の違いと電気代
EV・PHEVごとに充電にかかる消費電力は異なります。これは主に車種やバッテリー容量に依存します。
例えば、小型のコンパクトEV・PHEVは充電に比較的少ない電力で充電できる一方で、大型のSUVや高級セダンはより多くの電力を要します。充電にかかる時間もバッテリー容量や充電器の仕様によって異なります。
日産サクラや三菱ekクロスなどの軽EV・PHEVのバッテリー容量は20kWhです。普通自動車のEV・PHEVには日産アリアやリーフがありますが、バッテリー容量はアリアが66kWhで、リーフが40kWhとなります。メルセデスベンツEQEでは90kWhとバッテリー容量は非常に大きくなっています。
ここから、EV・PHEVのバッテリー容量に1kWhあたりの電気料金を掛け合わせることで、満充電にかかる金額が分かります。
例として挙げた各車種を満充電する際にかかる電気代は下記のようになります。
車種 | バッテリー容量 | 目安の充電料金※ |
三菱ekクロス | 20kWh | 600円 |
日産アリア | 66kWh | 1,980円 |
メルセデスベンツEQE | 90kWh | 2,700円 |
実際にEV・PHEVでどのくらいの距離を走るのか、どのくらいの頻度で外出するのかなどは各ご家庭ごとに異なります。また必ずしもいつも満充電をする必要もないでしょう。
おおよその目安として、バッテリー容量と電気代の関係性を知っていただければと思います。
電力プランによる充電にかかる電気代への影響
家庭での電気代は契約している電力プランによっても大きく左右されます。昼夜別電力やピークカットプランなど、様々なプランが存在し、それぞれに異なる単価が設定されています。
これらのプランの中から、自身の生活リズムや充電スケジュールに合ったものを選ぶことで、より経済的にEV・PHEVを充電することができます。
例えば電気料金単価が25円/kWhの場合と、35円/kWhの場合では、日産のアリア(バッテリー容量66kWh)では以下のように一回の満充電にかかる電気代が変わっています。
電気料金単価 | 1回の満充電にかかる電気代 |
25円/kWh | 1,650円 |
35円/kWh | 2,310円 |
年間のEV・PHEV充電の電気代はいくら?
日産アリアの航続距離は満充電で470kmとされています。では1年間に10,000km走るEV・PHEVユーザーでは、年間の電気代はどのようになるでしょうか。
単純に計算しますと、10,000kmの走行にはおおよそ21回の満充電が必要になります。そのため、上記の1回の満充電にかかる電気代を×21してみます。
すると、電気料金単価が25円/kWhでは年間の電気代は34,650円、35円/kWhでは48,510円となり、1万円以上の差が出てくることになります。
電気料金単価 | 年間の電気代 |
25円/kWh | 34,650円 |
35円/kWh | 48,510円 |
EV・PHEVの性能や日々の利用の仕方なども電気代には影響しますが、電気料金単価によって同じ走行距離であっても電気代は大きく変わってくることが分かります。
最適な電力プランを選ぶことがEV・PHEVの自宅充電における節約に
電力会社は、消費者の要望に合わせてさまざまなプランを提供しています。家庭の電力需要に応じた適切なプランを選択することで、EV・PHEVの利用を含む総費用を節約することができます。一部の電力会社では、時間帯によって電気料金が変動するプランもあります。
通常、電力需要が高まる時間帯は高い料金が適用される一方で、深夜や早朝、再エネ比率の高まるお昼の時間帯には割安なプランが提供されることがあります。自宅用の充電器を利用する場合、充電を行う時間帯を選択することで、より経済的に充電することが可能です。
まちエネにも、EV・PHEVオーナー向けに基本料金を安くし、さらにお昼時間帯の電力料金単価が安い「デイタイムバリュープラン」、また午前1時~午前5時の間EV・PHEV充電し放題の「毎晩充電し放題!プラン」を提供しております。
EV・PHEVを自宅で充電する方は、契約内容を確認して最適なプランを見つけることをおすすめします。