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容量市場、容量拠出金とは?
電気代への影響を分かりやすく解説!

こんにちは、まちエネです。みなさんは最近、「容量市場」や「容量拠出金」といった言葉を耳にしたことがあるでしょうか。これらは「容量拠出金制度」にかかわる言葉で、2024年4月から始まったこの新しい制度が、私たちの電気代に影響を与えるということで注目されています。

今回は容量市場とはどのようなものなのか、そして容量拠出金が私たちの暮らしにどう関わってくるのかを解説します。

容量拠出金制度とは?

まちエネコラム-容量拠出金制度は、日本全国の電力需給バランスを将来にわたり安定させることを目的に導入されました。この制度では、一定の発電能力を保持する発電事業者に対し、将来収益が約束されます。発電所の新設や維持を後押しすることで、安定的な電力供給を持続できるよう制度設計されているのです。

容量拠出金制度は、日本全国の電力需給バランスを将来にわたり安定させることを目的に導入された制度です。

この制度では、一定の発電能力を保持する発電事業者に対し、将来の収益が約束されます。将来にわたって発電できる力を保持する、つまり発電所の新設や維持を後押しすることで、発電事業者が安定的な電力供給を持続できるよう制度設計されているのです。

ここで発電事業者が受け取る収益は、小売電気事業者や一般送配電事業者、配電事業者から拠出され、最終的には電力消費者である一般家庭などが電気料金の値上げ分として負担することになります。(※値上げを行わない電力会社もあります。)

容量市場とは?設立背景とその目的

次に容量市場というものがどんなものなのか見ていきましょう。それには電力自由化までさかのぼることになります。

2016年4月1日以降、日本では電力の全面自由化が開始されました。電力自由化によって電力供給システムは、以下の3つに分かれることとなりました。

  • 発電所で電気を生成する「発電事業者」
  • 電気を消費者に送る「送配電事業者」
  • 消費者向けの料金設定や契約手続きなどのサービスを提供する「小売電気電事業者」

この変革により、小売部門においては新たな事業者(まちエネも含む小売電気事業者)が家庭などに電気を提供するようになり、価格やサービスの競争が生まれ、資源の効果的な配分が促進されました。この動きは小売部門だけでなく発電部門にも波及し、太陽光などの再生可能エネルギーの利用が拡大しています。

まちエネコラム-太陽光発電は、太陽の光を太陽電池モジュールに当て、それによって光エネルギーを電力に変換する発電方式です。 太陽電池モジュールの設置には、日当たりの良い平地や屋根など、広いスペースが必要です。

一方で、再生可能エネルギーの増加に伴い、そこで発電した電気が市場に供給される時間帯(例えば、晴れた日の昼間など)によって市場価格が低下し、発電事業者の売電収入が減少する可能性がでてきました。

せっかく太陽光発電で電気を作っても、電気が余っている時間帯では安くしか売れないということです。

そうなると、経済的に運営が苦しい発電所が休止・廃止される可能性があり、新しい発電所の建設も難しくなります。そもそも発電施設を作る際に、費用回収の見通しに懸念が生じるかもしれません。

再生可能エネルギーは季節や天候によって発電量が大きく変動します。電気の需要とのバランスを保つためには安定的な発電を提供できる他の電源を活用して、再生可能エネルギーの出力変動に対応し、システムのバランスを維持する必要があります。現在、この調整の役割を果たしているのは主に火力発電です。

安定した発電所の運営ができない場合、再生可能エネルギーの調整が難しくなり、需要と供給のバランスが崩れる可能性があります。これにより、電気料金の上昇や最悪の場合は停電のリスクが生じます。

例えば2021年の1月上旬には、寒波が続いた影響から電力の需要が大きく増えてしまい、一方では燃料の在庫不足による発電の抑制も重なってしまったことで供給力が低下、結果として電力需給のひっ迫が引き起こされました。

参考:2020 年度冬期の電力需給ひっ迫・市場価格高騰に係る検証 中間取りまとめ 2021年6月 経済産業省 資源エネルギー庁

こうした課題に対処し、電気事業者の安定した経営や電気料金の安定化など消費者にメリットをもたらすために、容量市場が設立されました。

参考:くわしく知りたい!4年後の未来の電力を取引する「容量市場」経済産業省 資源エネルギー庁

容量市場での取引

まちエネコラム-今現在の「電力量(kWh)」を取引する「卸電力取引市場」がすでにありますが、容量市場で取引されるのは、「将来にわたって見込める供給力(kW)」です。具体的には、発電事業者が有する「容量」に対して、小売電気事業者が市場メカニズムで決定された金額を支払う仕組みとなっています。

「容量」という言葉はやや理解が難しいかもしれませんが、「必要な時に発電することができる能力(kW)」を指します。例えば、火力発電など、電力が必要な時にすぐに発電できる設備を有する発電事業者は、その能力を持っていると言えます。

4年後となる2024年度の電力供給力(kW)を確保するために、2020年度に容量市場が新たに設立されました。

これまでも「電力量(kWh)」を取引する「卸電力取引市場」がありますが、容量市場で取引されるのは、「将来にわたって見込める供給力(kW)」です。具体的には、発電事業者が有する「容量」に対して、小売電気事業者が市場メカニズムで決定された金額を支払う仕組みとなっています。

容量市場の創設により、発電事業者は電力が必要なときに提供できる能力(供給力)を提供し、その供給力に対して事前に収益の見積もりが可能となります。これにより、現在の売電収入だけに頼る必要がなくなり、設備投資の計画がしやすくなります。

同様に、小売電気事業者も将来の電力需要に対応できる電源を確保できるため、安定した事業運営が見込まれます。

また、需要が最大(ピーク)になったときでも十分に対応できる容量を事前に確保することで、発電量が需要に追いつかずに停電が発生したり、電力調達が不足して卸電力価格が急騰するなどの事態を予防する狙いもあります。

取引価格の決定方法は?

最初に、電力広域的運営推進機関(広域機関)が4年後に見込まれる電力の最大量(最大需要)を試算します。4年後にはきっとこれだけの電気を必要とするだろうという予測ですね。

それから、その需要を満たすために必要な「4年後の電力供給力」を算定します。この際には、気象や災害によるリスクをも考慮し、「調達すべき電力」の目標容量を算定します。

次に、その調達量を満たすために、「4年後に供給可能な状態にある電源」を入札によって募集します。このオークション方式において、価格が安い順に入札が受け入れられます。

発電事業者は発電所のメンテナンスなどを行い、電力を供給可能な状態にし、その対価として広域機関から報酬を得ます。同時に、小売電気事業者は将来の電源容量を確保するために容量拠出金として広域機関に費用を支払います。

容量拠出金はいつから?

まちエネコラム-容量拠出金は発電事業者に支払われるお金です。支払うことになる小売り電気事業者などはそれを電気料金に転嫁することもあり、実際にいくつかの電力会社では2024年の4月から電気料金の値上げを発表しております。ご契約中の電力会社の案内をあらかじめチェックするようにしましょう。

2020年に容量市場が始まり、同年7月に行われたその初めてのオークションでは4年後の容量を取引、つまり2024年の電力供給の取引がされました。ここで取引された容量拠出金の負担は2024年の4月から始まっています。

先にお伝えいたしましたが、この容量拠出金は小売電気事業者から発電事業者に支払われるお金です。支払うことになる小売電気事業者などはそれを電気料金に転嫁することもあり、実際にいくつかの電力会社では2024年の4月から電気料金の値上げを発表しております。ご契約中の電力会社の案内をチェックするようにしましょう。

容量拠出金制度の仕組みについて理解していただけましたでしょうか。この制度を理解することは、毎月の電気料金の内訳を把握し、電気の節約意識を高めることにつながります。

これからも日本の電力供給を安定させていくために、ほかにもさまざまな施策が実行されるかもしれません。電気は生活に欠かせない存在ですので、これからも動向をチェックしてみましょう。

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