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電力需給ひっ迫はなぜ起きる?
私たちの生活に影響する電力不足の背景

まちエネコラム-いつも身の回りにありあたりまえのように使っている電気ですが、これは無限にあるわけではありません。発電量が需要に間に合わない状態を電力ひっ迫や電力不足と言います。

こんにちは、まちエネです。

皆さんはニュースで電力需給ひっ迫という言葉を聞いたことがありますでしょうか。

いつもあたりまえのように使っている電気ですが、これは無限にあるわけではありません。発電量が需要に対し、足りなくなる可能性がある、もしくは足りない状態を電力ひっ迫や電力不足と言います。

2022年3月22日には、東京および東北エリアで電力需給ひっ迫が発生し、「需給ひっ迫警報」が初めて発令されました。当時、首相官邸や経済産業省から当該のエリアの皆さんに節電の呼びかけが出されていました。

参考:電力需給ひっ迫警報 首相官邸
経済産業省 3月22日は電力需給が厳しくなる見込みのため東京電力管内で節電のご協力をお願いします【需給ひっ迫警報】

幸い、この電力需給ひっ迫は1日で解消し、大規模な停電には至りませんでしたが、一時は非常に緊迫した状況になりました。

このような電力需給のひっ迫はなぜ起きてしまうのでしょうか。また、再びひっ迫は起きてしまうのでしょうか。今回のコラムでは電力需給のひっ迫の原因や電力不足の背景から、私たちができる対策についてをご紹介していきます。

電力需給ひっ迫とは?

まちエネコラム-電力ひっ迫とは、電力の需要が供給量の上限に迫る状態を指します。  この状況では、電力が安定して供給されず、大規模停電(ブラックアウト)のリスクが高まります。  電力ひっ迫が起こる原因は、需要と供給のバランスの崩れにあります。家庭での電化製品の増加や、気候変動に伴うエアコンや暖房の増加が大きな要因です。

電力ひっ迫とは、電力の需要が供給量の上限に迫る状態を指します。

この状態では、電力が安定して供給されず、大規模停電(ブラックアウト)のリスクが高まります。

電力ひっ迫が起こる原因は、需要と供給のバランスの崩れにあります。需要面での問題として、家庭での家電製品の使用量が増えたことや、気候変動にともなう冷房や暖房使用の増加が大きな要因です。

また、火力発電所の老朽化や主力発電所の停止、世界的な燃料不足などが供給面での問題としてあげられます。電力は貯めておくことが困難なエネルギーであり、需要変動に対応するためには的確な予測と発電量の調整が必要です。

このような状況下で、需要が急増した場合に供給が追いつかずに電力ひっ迫が発生することになります。

電力需給ひっ迫の目安

具体的にはどのくらい発電量と需要量が近づくと電力ひっ迫となるのでしょう。警報が発令される条件として、経済産業省は安定した電気の供給について、全エリアで安定供給に最低限必要な予備率を3%としています。

参考:経済産業省 資源エネルギー庁 電力需給対策について 2023年6月27日

通常、電力の安定供給には予備率が3%が必要とされていています。さらに気象変動や発電機器のトラブルに備えて、8~10%の予備率が電力の安定供給にとって重要とされています。

電力需給ひっ迫の原因

まちエネコラム-私たちが日常的に利用する電力は、需要と供給のバランスが重要です。このバランスが崩れると、電力の需要が供給を上回ることがあり、それが電力需給ひっ迫や停電の原因になります。従って、電力の需要と供給のバランスを保つことが非常に重要です。

電力の供給量が減ってしまう原因には以下のようなものがあげられます。

  • 火力発電所の老朽化による停止
  • LNG在庫低下による火力発電の制約
  • 設備故障による石炭火力発電所の予期せぬ停止
  • 稼働中の原子力発電所の減少
  • 渇水による水力発電の利用率低下
  • 再生可能エネルギーの発電量の変動
  • 急激な天候変化による電力需要の増加

発電施設の停止や災害などで休止してしまう場合、例えば晴れの日が少ないせいで太陽光発電ができなかったり、雨の不足から水力発電の量が減ってしまうなど、再生可能エネルギーの発電量が変動することも原因となります。

発電能力が低下してしまうと、私たちが普段通りの電気の使い方をしようとしても、需要に対して供給が間に合わなくなってしまう可能性が高まります。

2022年3月22日の電力ひっ迫警報は、3月16日に起きた地震による火力発電所の停止・出力低下と、季節外れの寒波による電力需要の増加が重なって引き起こされました。

発電能力の低下もありますが、電力需要の急増も原因になるということです。本来は例年のデータを参考にして必要な電力量を予測して発電していますが、想定外の気象などで例年に比べて多くの冷暖房を使用する事態が発生すれば、予定した発電量を需要が超えかねないということです。

私たちにできることは?

まちエネコラム-電力需給ひっ迫警報が発令された場合、私たちに出できることは節電への協力です。特に夏や冬は電力使用量が増えるため、注意報や警報が出ていなくても、日常的に家電の節電を心掛けましょう。

電力需給ひっ迫警報が発令された場合、私たちに出できることは節電への協力です。特に夏や冬は使用電力量が増えるため、注意報や警報が出ていなくても、日常的に家電の節電を心掛けましょう。

節電のポイントは、消費電力量の多い家電から使い方を工夫することです。夏や冬であれば、エアコンが消費電力の多い家電製品となります。エアコンは、設定温度の調整や、風量や運転モードを切り替えるだけでも節電効果が期待できます。エアコンの電気代、節電方法はこちらのコラムで詳しくご案内しています。

また、エアコンだけでなく、冷蔵庫の温度調整や、照明やテレビは使用していないときはこまめに消すなど、手軽にできる節電から始めるとストレスなく取り組むことができます。

停電した際の備えも

電力需給ひっ迫が引き起こされてしまった場合、計画停電などが実施されることになります。そのような場合に備え、懐中電灯、乾電池式ラジオ、非常食、冷暖房のための対策を準備しておくことで、停電時にもあわてない生活を維持することができます。

ディマンドリスポンス(DR)への参加

まちエネコラム-ディマンド・リスポンス(DR)とは、消費者が賢く電力使用量を制御することで、電力需要パターンを変化させる仕組みです。これにより、電力の需要と供給のバランスを調整することが可能となります。  基本的には電気の需要を見越して発電量を調整するのに対して、DRでは発電側の事情や全国の電力需要に合わせて、電気を使う側が需要を調整するという考え方です。

ディマンド・リスポンス(DR)とは、消費者が電気の使用を制御することで、電力需要パターンを変化させる仕組みです。これにより、電力の需要と供給のバランスを調整することが可能となります。

通常、電気の需要を見越して発電量を調整するのに対して、DRは発電側の事情や全国の電力需要に合わせて、電気を使う側が需要を調整するという考え方です。

DRにはインセンティブ型(電気を使う側が電力会社などの要請に応じて電力需要の抑制等をすることにより対価を得る)もあり、参加するご家庭にとっても電気代節約だけでなく、報酬を受け取れるというメリットもあります。

参考:ディマンド・リスポンスってなに? 経済産業省 資源エネルギー庁

このような電気を使う側の協力も、電力需給ひっ迫を避けるために大切なことです。

さて今回は、電力需給のひっ迫やその原因、対策などをご紹介してきました。電力需給のひっ迫につながらないようにするためにも、一人ひとりが日頃から節電意識を持って行動することが大切です。

電気を使う私たちが電力の需給バランスを意識して行動することで、安心して電気が使えるようになります。この機会に、家電の使い方を見直したり、電力需給状況を意識的に確認することを習慣にしてみてはいかがでしょうか。

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