
こんにちは、まちエネです。
いまや聞いたことのない方はほとんどいない、太陽光発電。
再生可能エネルギーによる発電の代表的な例である太陽光発電は、環境にやさしくクリーンなエネルギー源として注目されています。今回はこの太陽光発電技術が私たちの生活にどのような影響を与えるのか、その仕組みと魅力、そして課題を詳しく探ってみましょう。
太陽光発電の歴史
太陽光を利用して電気を生み出す太陽光発電は驚くべき技術ですが、実はその歴史は約180年以上も前から始まっていました。1839年(日本では江戸時代)、フランスのアレクサンドル・エドモン・ベクレルという学者が金属の板に光を当てると電気が発生することを発見しました。これは光起電力効果と呼ばれており、現在の太陽電池の発電原理となります。
さらに、1883年にはアメリカの発明家チャールズ・フリッツが太陽電池の前身となるセレン光起電力セルを発明しました。日本では、1955年に初めて太陽電池が作られ、わずか3年後の1958年には太陽光発電システムとして実用化されました。その後、1970年代から世界中で太陽光発電の研究が盛んに行われ、現在では世界各地で太陽光発電が活発に行われています。
参考:太陽電池の黎明期の歴史と動作原理 応用物理 第 82 巻 第 1 号(2013)桑野 幸徳
太陽光発電の仕組み

太陽光発電は、太陽光を電力に変換する仕組みですが、具体的には太陽電池をたくさん集めたソーラーパネルを使用して電気を作ります。ここでの太陽電池は一般的な電気を貯める電池のことではなく、太陽光エネルギーを電力に変換してくれる発電機のことになります。
まず、太陽光が太陽電池にあたることで、先ほどご紹介した光起電力効果が引き起こされます。
太陽電池にはn型半導体とp型半導体という2種類の半導体がはり付けられています。太陽光があたることでn型半導体にはマイナスの電気を帯びた電子が集まり、p型半導体にはプラスの電気を帯びた電子が集まってきます。こうなることで、プラス極とマイナス極が作られるのです。
すると、電子は導線を伝わり移動をはじめ、電気の流れが生まれます。このようにして太陽光発電は電気を発生させています。
ちなみに、太陽電池の一番小さな単位をセルといいます。セルの集合体をパネルにしたものをモジュールと呼び、モジュールはソーラーパネル、太陽光パネルなどと呼ばれています。
太陽光発電のメリット

太陽光発電のメリットは主に以下の4つがあげられます。
- 再生可能エネルギーの利用
- ゼロエミッションで環境にやさしい
- 分散型発電により災害時にも支えとなる
- 太陽光発電で作った電気を売って収入を得られる
再生可能エネルギーの利用
太陽光発電は再生可能エネルギーの一種であり、環境に優しいエネルギー源として注目されています。太陽光発電の設備が維持できれば、半永久的にエネルギーを作り続けることができます。有限な資源の化石燃料の使用を減らし、地球温暖化の抑制に貢献できます。
再生可能エネルギーについてはこちらのコラムで詳しく解説しておりますのでご参考ください。
ゼロエミッションで環境にやさしい
太陽光発電は発電時に二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しないため、環境への負荷が少ないという大きなメリットがあります。日本政府が掲げているGX(グリーントランスフォーメーション)への取り組みにも、このような温室効果ガスの排出のないクリーンエネルギーの推進が含まれています。
分散型発電により災害時にも支えとなる
個々の住宅や建物に太陽光パネルを設置することで、エネルギーを分散して供給することができます。これにより、エネルギーの安定供給が可能になります。
またそうした自立運転のできる太陽光発電設備は、災害時に自家発電モードに切り替えることでライフラインを支えることにもなります。
太陽光発電で作った電気を売って収入を得られる
太陽光発電システムで生成した電力は、電力会社に売却して収入を得ることができます。特に日本政府が設立したFIT(固定価格買取制度)期間中は、買取価格が優遇されているため、初期投資を回収して収益を得やすくなります。
さらに、自家消費した分の電気料金が削減されるため、コストを削減できます。また、電気の購入量が減ることで、一緒に徴収される「再エネ賦課金」も削減されます。
工場や倉庫、大規模な店舗やオフィスビルなどでは、莫大な電気料金がかかることもあります。そのため、経費削減の観点から太陽光発電システムを導入する企業が増えています。
太陽光発電のデメリット
- 発電量が天候に左右される
- 設置のために広い敷地が必要
- 初期投資費用が高い
- メンテナンス費用がかかる
発電量が天候に左右される

太陽光発電は天候に左右されることが弱点です。曇りや雨の日などはほとんど発電ができなくなってしまいます。特に冬季や夜間は発電量が低下します。それ以外でも、設置場所によっては日照量が少なかったり、設置する屋根の方角などでも発電量が変わってしまいます。
広い設置面積が必要
一定の発電量を得るためには、広い面積に太陽光パネルを設置する必要があります。広大な土地をもっていれば多くのソーラーパネルを設置できますが、住宅などの限られたスペースでは、設置が難しい場合もあります。
初期投資費用が高い
太陽光発電システムの設置には高額な初期投資が必要です。パネルやインバーターなどの機器の購入費用や設置工事費用がかかります。
経済産業省 資源エネルギー庁が調査した2022年の太陽光発電のシステム費用は、平均値で28.8万円/kWとなっていました。一般家庭ですとおおよそ3kW~5kWほどの規模になるため、おおよそ86万~144万円ほどの設置費用が掛かるということになります。
補助金の対象になることもありますが、低価格で揃えることができる設備ではないことが分かります。
参考:太陽光発電について 2023年12月 資源エネルギー庁
メンテナンス費用がかかる
太陽光発電のシステムは導入するだけではなく、そのあとにメンテナンス費もかかることに注意しましょう。点検・メンテナンスは法律で義務として定められています。
再生可能エネルギーの一つとして、太陽光発電は環境への貢献やエネルギーの安定供給に向けて注目されていますが、その設置費用や天候依存性などの課題もあることに留意しましょう。
太陽光発電で家の電気はまかなえる?
導入費用の部分で触れましたが、一般家庭で使用される太陽光発電システム容量はおおよそ3kW~5kWとなっています。一般家庭用のソーラーパネルは最大でも10kW未満と容量が定められています。
一方で一般家庭に必要な1日の消費電力量は11kWとされています。参考:家庭のエネルギー事情を知る 「令和3年度家庭部門のCO2排出実態統計調査資料編(確報値)」 環境省
この結果から見ますと、太陽光発電だけでは1日に必要な家庭の電気をまかなうことはできません。
また、太陽光発電によってつくられた電気は基本的には貯めておくことができません。発電したらすぐに家庭で消費されることになります。太陽光発電ができない雨の日や、夜間などは太陽光発電による電気を使うことができません。
一方で、太陽光発電を活用し家庭で必要な電力量以上の発電を行った場合には、余った電気を電力会社に売ることで利益を得るという手段もあります。
蓄電池を備えると太陽光をさらに活用できる

電気は基本的には貯めておけないとお伝えしましたが、貯めておく方法もあります。それが蓄電池の導入です。
太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、昼間に発電した電力を蓄えて夜間に利用することができます。さらに、蓄電池があれば、災害時の停電に備えることも可能です。
ただし、蓄電池の容量や耐用年数は、製品ごとに異なるため注意が必要です。
家庭用蓄電池についてはこちらのコラムで詳しくご案内しておりますので、ご参考ください。
まとめ
太陽光発電は、クリーンなエネルギー源として災害時の備えにも役立つため、一般家庭での設置が年々増加しています。しかし、太陽光発電の仕組みや売電制度について正しく理解していないと、導入後にトラブルや後悔を招く可能性があります。
地域や住宅によって得られるメリット・デメリットや費用対効果は異なるため、まずは専門の業者に相談することをおすすめします。複数の業者に依頼して見積もりやサービスの内容を比較し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
今回は太陽光発電の仕組みとメリット・デメリットについてご紹介してきました。再生可能エネルギーによる環境への貢献について参考になると嬉しいです。