こんにちは、まちエネです。
災害時の電源確保は、現代の家庭において非常に重要な課題です。地震や台風などの自然災害によって長時間の停電が発生することもあります。そうなると、日常生活に大きな支障が出てしまいますよね。
そんな非常時の電源対策として注目されているのが、家庭用蓄電池と発電機です。
これらはどちらも停電時に電気を供給する手段ですが、それぞれ仕組みやメリットが異なります。では、家庭にとってどちらがより適しているのでしょうか?災害時に備え、蓄電池と発電機の特徴を理解し、自分の家庭に合った選択をすることが大切です。
蓄電池と発電機の基本的な違い
災害時の電源確保手段として、蓄電池と発電機はそれぞれ異なる仕組みを持っています。まずは、それぞれの基本的な特徴を理解しましょう。
蓄電池とは

蓄電池は、太陽光発電や電力会社から供給された余剰電力を溜めておき、必要なときにその電気を使うことができる装置です。
普段からエネルギーを溜めることができるため、停電時にすぐに電気供給できるのが特徴です。また、蓄電池は静かで排気ガスを出さず、クリーンなエネルギー供給が可能です。特に、太陽光発電システムと組み合わせることで、災害時にも継続的に電気を利用できるのが大きなメリットです。
家庭用蓄電池についての詳しい解説はこちらのコラムをご覧ください。
発電機とは

発電機は手動、または燃料(主にガソリンやディーゼル)を使って電気を生成する装置です。
手動式発電機
手動式発電機は、手や足で機械を動かして電気を作り出します。燃料は不要で、ハンドルやペダルを使って発電するので、コンセントが使えない時に便利です。価格は1万~3万円ほどで手軽ですが、発電は操作中だけなので、長時間の電力供給には向きません。
また、最大で100W程度の出力のため、スマートフォンやラジオ、照明などの少ない電力の機器に適しています。
燃料式発電機
燃料式発電機はガソリンやカセットガスを使って電気を供給します。屋外に置き、延長コードで家電製品に接続できるので、幅広い機器に対応可能です。価格は5万〜10万円くらいですが、安定した電力供給が可能です。
ただし、動作音が大きいのと、使用後には燃料の管理やメンテナンスが必要になる点がデメリットです。
家庭用蓄電池のメリット・デメリット

家庭用蓄電池には、災害時だけでなく日常生活においてもさまざまなメリットがありますが、導入にはいくつかの注意点もあります。ここでは、蓄電池のメリットとデメリットを整理してみましょう。
蓄電池のメリット
- クリーンなエネルギー供給
蓄電池は、太陽光発電と組み合わせることで、自然エネルギーを活用できます。これにより、家庭内ではクリーンで再生可能なエネルギーを使い、環境負荷を減らすことが可能です。 - 無音での運転
蓄電池は静かに動作するため、騒音の心配がありません。特に夜間の停電時など、家族や近隣に迷惑をかけずに電気を使うことができます。 - 停電時にも安定した電力供給
充電が十分にされていれば、蓄電池は長時間にわたって電力を供給できます。災害時や停電時でも、冷蔵庫や照明、携帯の充電といった基本的な電力需要をまかなえる点が大きな強みです。 - 電気料金の削減
日常の電気料金削減にも役立ちます。電気料金が安い時間帯に蓄電池に充電し、高い時間帯に溜めた電気を使うことで、電気料金をおさえることができます。
蓄電池のデメリット
- 初期費用が高い
蓄電池は導入コストが高めです。機器の価格や設置費用など、数十万円から場合によっては百万円を超えることもあります。したがって、初期投資をどう回収するか、あらかじめ考えておく必要があります。 - 天候や電力消費量に依存
太陽光発電と組み合わせる場合、天候に大きく影響されます。曇りや雨の日が続くと十分に充電ができず、蓄電池の電力供給が不安定になることがあります。また、消費電力が高い機器を多く使用すると、蓄電された電気を早く消耗してしまう可能性もあります。 - 設置スペースの確保が必要
蓄電池はある程度の大きさがあるため、設置スペースが必要です。特に、住宅環境によっては設置場所の確保が難しいこともあります。
発電機のメリット・デメリット

発電機も災害時の電力確保手段として広く使われていますが、蓄電池とは異なる特徴を持っています。ここでは、発電機のメリットとデメリットを見ていきましょう。
発電機のメリット
- 即時の電力供給
発電機は、燃料を入れてスイッチを入れればすぐに電力を作り出せるため、災害時や停電時に即座に電源を確保することができます。特に、大容量の電気を必要とする家電製品にも対応できる点は大きな強みです。 - 長時間の電力供給が可能
燃料さえ用意しておけば、発電機は長時間の電力供給が可能です。停電が数日続くような場合でも、燃料を補充しながら継続的に電気を供給できます。大規模な停電や長期にわたる災害時には、強力な電力供給手段となります。 - 多様な用途に対応
発電機はアウトドアやキャンプなど、非常時以外でも活用することができます。持ち運び可能なタイプも多く、屋外イベントや工事現場などさまざまなシーンで使用可能です。
発電機のデメリット
- 燃料の準備と保管が必要
発電機は、ガソリンやディーゼルといった燃料を使って電気を生み出すため、燃料の備蓄と保管が必要です。災害時に備えて燃料を一定量用意しておく必要があり、また、長期間保存していると燃料が劣化する可能性もあるため、定期的な管理が求められます。 - 騒音と排気ガスの発生
発電機は動作時に大きな音が出ることが一般的です。特に住宅街などでは、長時間の使用が近隣の迷惑になりかねません。また、排気ガスも発生するため、換気が十分な場所での使用が必須です。 - メンテナンスの手間
発電機は定期的なメンテナンスが必要です。特に長期間使用しない場合でも、エンジンの状態を保つために点検や燃料の交換が求められます。メンテナンスを怠ると、災害時に発電機が動作しないリスクがあります。
災害時にはどれくらいの電気が必要?
災害時には、家全体の電力消費をまかなうことは難しいため、必要最低限の電力を確保することが重要です。しかし、どれくらいの電気が必要になるのかを具体的に把握しておくことも大切です。
環境省のデータによれば、1世帯が1年間に消費する電力は、全国平均で4,175kWhとされています。これは、1日あたりおおよそ11kWhの電力を消費していることになります
参考:家庭のエネルギー事情を知る「令和3年度家庭部門のCO2排出実態統計調査資料編(確報値)」環境省
平常時の生活では冷蔵庫、エアコン、照明、テレビ、家電製品の充電など、多くの電力が使われています。
しかし、災害時にはすべての家電製品を使用するわけではなく、まずは命に関わる最低限の電力を確保することが最優先です。例えば、冷蔵庫や携帯電話の充電、最低限の照明を確保するだけでも十分な備えと言えます。
蓄電池と発電機はどちらがいい?
蓄電池と発電機のどちらがいいかは、状況やニーズによって変わります。以下に、それぞれの状況でのおすすめをまとめました。
災害時
災害時は電力供給が不安定になることがあります。そんな時は、太陽光発電と蓄電池の組み合わせが頼りになります。日中に太陽光で蓄電池に充電しておけば、夜間に使用する電気も確保できます。一方、発電機は一度にたくさんの電力を供給できますが、燃料が必要で、燃料が切れると発電も止まってしまいます。
長時間停電時
長い停電が予想される時には、太陽光発電と蓄電池が便利です。晴れた日中にエネルギーをためておけば、夜間も安心して使えます。発電機は即座に大きな電力を提供してくれますが、騒音や排気ガス、燃料の補給が手間になることがあります。
屋外での使用
キャンプや屋外活動では、太陽光発電と蓄電池の組み合わせがおすすめです。昼間に太陽光でエネルギーを作り、余った電力を蓄電池にためて夜に使うことができます。発電機も使えますが、燃料補給や音が気になるかもしれません。
日常のエネルギー管理や長期的な停電対策には、太陽光発電と蓄電池の組み合わせがぴったりです。短期間で大きな電力が必要な時には、発電機が役立ちます。
これらの特長を知った上で、導入にかかるコストやライフスタイルを考慮し、ご自身に合った電源を選びましょう。