1. ホーム
  2. まちエネコラム
  3. ペロブスカイト太陽電池とは?次世代の技術であらゆる場所が発電所に!

まちエネコラム

Column

ペロブスカイト太陽電池とは?
次世代の技術であらゆる場所が発電所に!

まちエネコラム-様々なところで耳にする再生可能エネルギー。地球環境への貢献と持続可能な社会の実現ために、政府ではGX(グリーントランスフォーメーション)を掲げて再生可能エネルギーの普及に取り組んでいます。  その中でも太陽光発電は代表的な再生可能エネルギーですが、その太陽光発電において、ペロブスカイト太陽電池という新しい革命が起こっていることをご存知でしょうか。

こんにちは、まちエネです。

さまざまなところで耳にする再生可能エネルギー。地球環境への貢献と持続可能な社会の実現ために、政府ではGX(グリーントランスフォーメーション)を掲げて再生可能エネルギーの普及に取り組んでいます。

その中でも太陽光発電は代表的な再生可能エネルギーですが、その太陽光発電において、ペロブスカイト太陽電池という新しい革命が起こっていることをご存知でしょうか。

今回はこのペロブスカイト太陽電池について分かりやすく解説しながら、メリット・デメリットをご紹介していきます。

太陽光発電の普及には場所が足りない

まちエネコラム-シリコン系太陽電池は、耐久性に優れていると同時に、太陽光を電気に変える変換効率も高いという特徴があります。しかし、太陽光パネル自体の重さや屋外での耐久性を確保するためのガラスパネルの重さなどにより、設置場所が制限されることがあります。そのため、日本では新たな設置場所を見つけることが難しくなっているのが課題です。

太陽光発電と聞くと、広大な土地に並ぶ大型の黒いパネルや住宅の屋根に取り付けられたパネルを思い浮かべる方も多いでしょう。これらは一般的に「シリコン系太陽電池」として知られています。このタイプの太陽電池は、その発電層がシリコンでできており、現在では市場の95%を占めるほど普及しています。

シリコン系太陽電池は、耐久性に優れていると同時に、太陽光を電気に変える変換効率も高いという特徴があります。

しかし、太陽光パネル自体の重さや屋外での耐久性を確保するためのガラスパネルの重さなどにより、設置場所が制限されるため、日本では新たな設置場所を見つけることが難しくなっている現状があります。

現在、日本では、平地面積当たりの太陽光発電の導入量が他の主要国よりも高くなっています。つまり、太陽光パネルを置ける場所にはすでに置かれている場合が多いのです。

参考:太陽光発電の政策動向~「地域と共生した」再エネの最大限導入~資源エネルギー庁 新エネルギー課⾧ 能村 幸輝2023年11月7日

したがって、太陽光発電を普及したくても、場所がなければその普及にストップがかかります。今後、どのように設置場所を確保し、普及させていくかが重要なテーマとなっているのです。

次世代の太陽光発電として期待されるペロブスカイト太陽電池

ペロブスカイト太陽電池は、シリコン系太陽光電池に匹敵する高い変換効率を持ちながら、新しいタイプの太陽電池として注目を集めている次世代の太陽電池です。

この太陽電池は、ペロブスカイトと呼ばれる特殊な結晶構造を持つ材料を利用しており、ペロブスカイト膜は、塗布技術によって簡単に作製できるため、従来の太陽電池と比べて低コストで製造可能です。また、柔軟性があり軽量なため、シリコン系太陽電池では難しい場所にも設置することが可能です。

2009年に桐蔭横浜大学 大学院工学研究科の宮坂力(みやさか つとむ)教授が初めて提案し、以来世界中で研究が進められています。2013年からはJSTの先端的低炭素化技術開発(ALCA)プロジェクトでも取り組みがはじまり、有機無機ハイブリッド高効率太陽電池の研究開発を牽引しています。これにより、太陽電池技術の進化と実用化に向けた一大プロジェクトが現在も進行中です。

参考:国立研究開発法人 科学技術振興機構 事業成果 ペロブスカイト型太陽電池の開発

ペロブスカイト太陽電池のメリット

軽くて柔軟なためさまざまな場所に設置できる

まちエネコラム-ペロブスカイト太陽電池は非常に軽量であり、柔軟性があります。そのため、従来のシリコン太陽電池では難しい場所にも設置できます。建物の屋根や壁だけでなく、局面に張り付けることもできますので、自動車や人が着る衣服にも取り付けることができるのです。

ペロブスカイト太陽電池は、非常に軽量であり柔軟性があります。そのため、建物の屋根や壁だけでなく、従来のシリコン太陽電池では設置が難しい局面にも張り付けることができ、さらに自動車や人が着る衣服にも取り付けることができるのです。

太陽光発電の場所の考え方が根本的に変革され、どんなところも発電場所になれる可能性があります。

製造コストが低い

ペロブスカイト太陽電池は、印刷や塗布といった比較的簡易な方法で製造が可能です。そのため、製造コストを抑えることができます。

レアメタルなど貴重な材料が不要

ペロブスカイト太陽電池は、レアメタルなどの希少な材料を必要としません。代わりに比較的入手しやすい材料であるヨウ化鉛やメチルアンモニウムを使用します。このため、将来的にも材料供給に関する問題が発生しにくいと言われています。

ペロブスカイト太陽電池のデメリット

革命的なペロブスカイト太陽電池ですが、弱点も持っています。それは、寿命が短く耐久性が低いことです。また、大きな面積のものを作ることが難しいこともデメリットとしてあげられます。

ペロブスカイト太陽電池は、非常に小さな結晶を集めており、それゆえに局面にも対応できるのですが、高温や水分の影響を受け、この小さな結晶が支障をきたすことがあります。そうなると、発電効率が低下したり、寿命が短くなってしまうのです。

また、ペロブスカイト太陽電池は、ほんのわずかではありますが、材料に鉛を使っているため、もし外部に漏れ出てしまうと環境汚染を起こす恐れがあります。

そして、電気への変換効率も、まだまだ改善の余地があります。シリコン太陽電池の変換効率は15%~20%とされていますが、ペロブスカイト太陽電池は変換効率10%~12%とされます。ただし、このような弱点は、今後の技術進化により解消されることが期待されています。

参考:変換効率37%も達成!「太陽光発電」はどこまで進化した?経済産業省 資源エネルギー庁

ペロブスカイト太陽電池の実用化はいつなの?

ペロブスカイト太陽電池は、まだまだ一般家庭にまで浸透するほどの普及はしていません。経済産業省 資源エネルギー庁の発表ではグリーンイノベーション基金を通じ、東芝や積水化学工業などが製造技術を確立するための開発をしているとされています。

2023年度からこうした企業との連携を進めており、ペロブスカイト太陽電池は2025年の実用化を目指しているところです。

参考:再生可能エネルギーに関する次世代技術について 2023年9月8日 経済産業省 資源エネルギー庁

革新的な「軽くて曲げられる」太陽電池であるペロブスカイト太陽電池ですが、まだ実用化に向けての課題は残っています。

今後この太陽電池が量産されて各家庭にも利用されていけば、世の中のあらゆる場所が太陽光発電所となり、よりクリーンで持続可能な社会になっていくものと思われます。

コラム一覧を見る