
こんにちは、まちエネです。
寒い季節になると暖房の使用により、急激に電気代が上がることを経験したことはありませんか?
エアコンは、寒い季節に快適な室温を保つために欠かせない家庭の必需品ですが、その運転にはかなりの電力が必要です。特に暖房運転においては、冷房以上に電気代がかかるという特徴があります。
実際にエアコンの暖房を1時間つけると、電気代は45円ほどかかります。つまり、24時間つけっぱなしで運転すると1,080円かかることになります。もちろんこちらは使用するエアコンのモデルや運転モード、またご契約している電力プランにより異なりますので、ご注意ください。(今回は電気料金単価30円/kWhにて計算)
こちらのコラムでは、エアコン暖房による電気代と、その効率的な節約方法について詳しく解説します。これにより、無駄な電力消費を抑えつつ快適な室内環境を保ち、寒い季節は効率的に暖房を使っていきましょう。
エアコンの暖房時電気代の計算
まず、エアコンの暖房時の電気代を実際に計算する方法を理解しておくことが大切です。電気代の計算式は以下のようになります。
電気代 = 消費電力(W)÷ 1,000 × 使用時間(h)× 電気料金単価(円/kWh)
定格消費電力が1500W(1.5kW)のエアコンを使用し、電気料金単価が30円/kWhの場合、1時間あたりの電気代は1.5 kW × 30円 = 45円となります。
このエアコンを1日8時間使用すると、1日の電気代は45円 × 8時間 = 360円となり、1か月(日数を30日と仮定)では360円 × 30日 = 10,800円となります。
使用時間 | 電気代 |
1時間 | 45円 |
8時間 | 360円 |
1か月(30日) | 10,800円 |
毎日8時間、1か月間エアコンの暖房をつけていると1万円を超える電気代となり、家計への負担が大きくなります。しかし、エアコンは常に1,500Wの消費電力で運転しているわけではなく、使用する運転モードや設定温度によって消費電力は変化します。
以下に500W、800W、1,000W、1,200Wでの比較をご紹介します。こちらも上記と同じように、1か月の電気代を計算するにあたり、毎日8時間使用した場合と仮定して算出いたします。
消費電力 | 1時間 | 8時間 | 1か月(30日) |
500W | 15円 | 120円 | 3,600円 |
800W | 24円 | 192円 | 5,760円 |
1,000W | 30円 | 240円 | 7,200円 |
1,200W | 36円 | 288円 | 8,640円 |
計算結果を確認すると、消費電力が大きいほど電気代の負担も大きくなりますね。いっぽうで、効率的にエアコンを運転し、消費電力が大きくならないように気を付けることで電気代を抑えることもできます。
部屋の広さ別でみるエアコンの暖房の電気代

部屋の広さによってエアコンの暖房にかかる電気代が異なります。部屋が広いと、エアコンがカバーすべき空間の体積が増え、より多くの電力を消費するため、電気代が上がります。
また、広い部屋では暖気が均等に行き渡るまでに時間がかかるため、運転時間も長くなる傾向があります。
部屋の広さに対して適切なエアコンのモデル を選ぶことで、エアコンの運転が効率化されます。適切なモデルを選んでいない場合、設定温度に達するためにエアコンが常にフル稼働し、無駄な電力を消費してしまいます。
例として、ダイキンのDXシリーズにて、それぞれの畳数別の暖房時の消費電力の目安からお部屋の広さごとの電気代を比べてみましょう。電気料金単価は30円/kWhとします。
- 8畳程度向け:S254ATDS-W(-C)(490W)
- 10畳程度向け:S284ATDP-W(-C)(730W)
- 14畳程度向け:S404ATDP-W(-C)(900W)
- 18畳程度向け:S564ATDP-W(-C)(1,430W)
- 20畳程度向け:S634ATDP-W(-C)(1,550W)
- 23畳程度向け:S714ATDP-W(-C)(2,020W)
- 26畳程度向け:S804ATDP-W(-C)(2,520W)
お部屋の広さ(畳数) | 1時間の電気代 |
8畳程度 | 14.7円 |
10畳程度 | 21.9円 |
14畳程度 | 27円 |
18畳程度 | 42.9円 |
20畳程度 | 46.5円 |
23畳程度 | 60.6円 |
26畳程度 | 75.6円 |
消費電力はあくまで目安ですので、設定温度や使い方によって電気代は変わりますが、やはり広いお部屋向けのモデルほど、消費電力も大きく電気代が高くなります。
ご自身のお部屋の広さにあったモデルのエアコンを選ぶことは効率的なエアコンの運転と電気代を抑えるために大切です。
エアコンは冷房よりも暖房の電気代が高い!

エアコンの暖房は冷房に比べて電気代が高くなりがちです。その理由は、暖房を行う際には外気温が低いため、エアコンが室内を暖めるためにより多くのエネルギーを消費するからです。
エアコンは外気を取り込み、冷やしたり温めたりすることでお部屋の気温を調整することができます。そこで外気温とエアコンの設定温度の差が重要になるのです。
例えば、真冬の外気温が0℃である場合、室内を20℃に暖めるためにはかなりのエネルギーが必要です。一方、真夏の外気温が30℃である場合、室内を25℃に冷やすためには比較的少ないエネルギーで済みます。
このように、冷房よりも暖房の使用時に電気代が高くなりやすいので、特に暖房の使い方には注意が必要です。
電気代は冬の方が高くなる点については、1年を通して電気代が高い月とその理由のコラムで解説しておりますので、ご参考ください。
おトクなのはどっち?エアコンの暖房つけっぱなしorこまめに切る
エアコンの暖房の電気代で皆さんが気になるのは、つけっぱなしにしておくのとこまめに切るのとでは、どちらの電気代が安いのかという点でしょう。
例えば、外出する際にエアコンをつけっぱなしにしておいた方がいいのか、または、切っておいた方がいいのか、迷われていると思います。
もちろん、電源を切れば電気代はかからないのですが、場合によってはつけっぱなしにしておくことで電気代が安くなることがあります。なぜなら、エアコンの立ち上がり時には多くの電力を消費するため、頻繁にオン・オフを繰り返すと、その分電力消費が増える可能性があるからです。
先ほど、エアコンは外気温とお部屋の中の温度の差が大きいほど電気代がかかることをご紹介しました。つまり、冬に外気温がとても低い場合には、一度エアコンを切ってしまうと再び温かい空気を部屋に送り込むために多くの電力を消費しやすいということになります。
外がとても寒い場合にはエアコンの暖房はつけっぱなしにしておくことで電気代が安くなるかもしれません。
短い時間の外出であればつけっぱなしの方がおトク
ダイキン工業株式会社が、エアコンのつけっぱなしにした場合と、こまめに切る場合の比較をし、消費電力の検証を行いました。その結果、30分間隔で「こまめに入り切り」するよりも「つけっぱなし」にした方が消費電力量は小さく、電気代が安くなることがわかりました。
短い時間の外出であれば、不在にしていても、エアコンの暖房はこまめに切るのではなくつけっぱなしにしていた方がおトクです。
つけっぱなしと1日のスケジュールに合わせての運転ではほとんど電気代に差が出なかった
ダイキン工業株式会社は24時間つけっぱなしにした場合と、想定される1日のスケジュールに合わせてこまめに入り切りした場合との比較検証も行っています。この検証では、長時間の外出であればエアコンは一度切ってしまった方が電気代はおトクであることがわかりました。
しかし、想定した1日のスケジュールにおいて、合計13時間の停止時間があったのにも関わらず、24時間つけっぱなしの場合とでは約30円しか電気代には差が出なかったことも報告されています。
外気温がどのくらいかによって消費電力は異なりますが、こまめな入り切りを繰り返すほど、つけっぱなしよりも電気代が高くなる可能性もあります。
参考:mission5-2 エアコン暖房を「つけっぱなし」にするのと「こまめに入り切り」するのでは、どちらの電気代が安くなるの? ダイキン
電気代を節約するエアコンの効率的な使用方法
ここからは、エアコンを効率よく使用することで、電気代を節約する方法をご紹介します。
適切な使い方と工夫を取り入れることで、快適な室内環境を保ちつつ、無駄な電力消費を抑えることが可能です。
エアコン暖房の温度設定は20℃を目安に省エネモードを活用
エアコン暖房の電気代を効果的に節約するためには、適切な温度設定と運転モードの選択が重要です。
エアコンの温度設定を適切に行うことで、電気代を大幅に節約できます。温度設定が高すぎると外気温との差が大きくなるため、たくさんの電力を消費してしまい電気代が高くなります。
例えば、冬の適切な設定温度は20〜22℃とされています。これにより、快適な室内環境を保ちつつ、電気代を削減できます。環境省が打ち出しているウォームビズ(WARMBIZ)では、暖房時の室温は20℃を目安に設定し、衣服による温度調整やお部屋の断熱効果などにより、省エネを実現するように呼び掛けています。
経済産業省によれば、この20℃の温度設定により、年間で約1,650円の節約につながるとされています。
参考:環境省 デコ活 くらしの中のエコろがけ ウォームビズ(WARMBIZ)とは
参考:経済産業省 省エネポータルサイト 家庭向け省エネ関連情報 無理のない省エネ節約
また、エアコンの運転モードを適切に設定することも重要です。運転モードには自動、連続運転、省エネモードなど様々なものがあります。省エネモードに設定することで、無駄な電力消費を防ぐことができます。多くのエアコンには「省エネモード」が搭載されており、このモードを活用することで、電力消費を20〜30%削減することができます。
設定を適切に行うことで、電気代を節約しながら快適な室温を維持しましょう。
フィルター掃除

エアコンの効率を維持するためには、フィルター掃除が非常に重要です。フィルターが汚れていると、エアコンの性能が低下し、必要以上に電力を消費してしまいます。
例えば、フィルターが詰まっていると空気の流れが妨げられ、設定温度まで室温を上げるためにエアコンが長時間稼働し続けることになり、電気代が増加します。定期的にフィルターを掃除することで、エアコンの効率を最大限に保ち、電気代の節約につながります。
フィルターの掃除方法を知っておくことも重要です。正しい方法で掃除をすることで、フィルターを傷つけずにきれいに保つことができます。
例えば、フィルターを取り外し、掃除機でほこりを吸い取った後、ぬるま湯で洗浄し、完全に乾かしてから再度取り付けるという方法があります。フィルターを傷つけないように、丁寧に掃除することが、エアコンの長寿命化と効率維持に繋がります。
断熱材とカーテンによる断熱効果の向上

断熱材とカーテンを使用することで、エアコンの効率を高め、電気代を節約することができます。断熱材やカーテンは部屋の熱を逃がさず、効率的に保温する効果があります。これにより、エアコンの稼働時間が短くなり、消費電力が減少します。
例えば、窓に断熱フィルムを貼ったり、厚手のカーテンを使用することで、外気温の影響を受けにくくなり、部屋の温度を一定に保つことができます。断熱フィルムは透明であるため、景色を損なうことなく断熱効果を得ることができ、厚手のカーテンはインテリアのアクセントにもなります。
加えて、部屋全体に断熱材を取り入れることで、さらに効率的な保温が可能になります。特に、床や天井、壁に対する断熱は非常に効果的で、これによりエアコンの負荷を大幅に軽減できます。断熱材を天井や壁に設置することで、一度暖まった空気が室外に逃げにくくなり、安定した温度管理が実現します。
断熱材とカーテンを活用してエアコンの効果を最大化し、電気代の節約を実現しましょう。エアコンだけに頼らず、様々な工夫を組み合わせることで、快適な室内環境を維持しながら節電を実現することができます。時間や手間を少し加えるだけで、暖房効率が大幅に向上し、家計にも優しい生活が手に入ります。
タイマー機能の活用
エアコンのタイマー機能を活用することで、電気代の節約が可能です。タイマー機能の活用は、必要な時間だけエアコンを運転させることができ、過剰な運転を防ぐことができるからです。
例えば、就寝前にエアコンをタイマー設定しておけば、寝る時間に合わせて自動的に運転が終了するため、無駄な電力消費を抑えることができます。また、起床時間に合わせてエアコンを自動的に運転開始するように設定することも可能です。
タイマー機能を活用すると、エアコンの効率的な使用が促進され、電気代を節約できるようになります。
扇風機やサーキュレーターを使った温度均一化

扇風機やサーキュレーターを使用することで、部屋全体の温度を均一に保つことが可能です。暖房時に生じる温度のムラを解消するため、効率的な暖房効果が得られると同時に電気代の削減につながります。
例えば、暖房をつけている際に扇風機を天井方向に向けて回すことで、暖かい空気が部屋全体に拡散し、足元が冷えにくくなります。また、サーキュレーターを使用すると空気の流れを作り、均一な温度を維持しやすくなります。
扇風機やサーキュレーターを活用して部屋の温度を均一に保つことで、暖房効率を向上させることができ、結果として電気代の節約にもつながります。
他の暖房器具との比較
エアコン暖房は、寒い季節には欠かせない暖房手段ですが、他の暖房機器と比べた効率に関して気になる方も多いでしょう。他の暖房器具と比較することで、エアコン暖房の優位性と費用対効果を理解できます。
さまざまな暖房器具とエアコン暖房の電気代を比較してみましょう。特に広く使用されているオイルヒーター、ヒートポンプ式暖房器具、電気ストーブについて、エアコン暖房との違いを明確にします。
オイルヒーター、ヒートポンプ式暖房器具、電気ストーブとの電気代比較

各暖房器具は消費電力が異なるため、自宅や使用条件に応じた選択が必要です。暖房効率の高い暖房器具を選ぶことで電気代を抑えることができます。各暖房器具の電気代は以下のようになります。
暖房器具 | 消費電力の目安 | 1か月の電気代 |
エアコン | 1,000W | 7,200円 |
オイルヒーター | 1,500W | 10,800円 |
ヒートポンプ式暖房器具 | 635W~2,090W | 4,572円~15,048円 |
電気ストーブ | 800W | 5,760円 |
オイルヒーターはデロンギのRHJ75V0915-GYを参考。ヒートポンプ式暖房器具はCORONAのエコ暖クール8.7を参考。電気ストーブはアイリスオーヤマのKIEHDB-800 800Wを参考。
エアコン暖房の平均電気代は月々約7,000円と言われますが、オイルヒーターは10,000円を超えることもあります。この差は、エアコンがヒートポンプ技術を使用して効率的に熱を生成する一方、オイルヒーターは内部のオイルを加熱するために多くの電力を消費することに起因します。
また、ヒートポンプ式暖房機器はエアコンに近い電気代で運転でき、加熱時には消費電力が高くなりますが安定時には少ない消費電力で運転ができます。また、環境に優しくエネルギー効率が高いです。
さらに電気ストーブはピンポイントで急速に暖めることができ、短時間使用が前提であれば電気代をそれほどかけずにすむため、スポット暖房として利用するのがおすすめです。
各暖房器具の電気代とエネルギー効率を理解し、状況に応じて最適なものを選ぶことが節約につながります。
例えば、大きなリビングルームを効率よく暖める場合、エアコンやヒートポンプ式暖房器具が最適ですが、小さな部屋や短時間だけの使用が目的であれば電気ストーブが有効です。逆に、長時間使う場合や部屋全体を均一に暖めたい場合は、消費電力が高いオイルヒーターよりもエアコンやヒートポンプ式の方が経済的に優れています。
これらのポイントを考慮しながら、自宅の間取りや利用シーンに合わせて最適な暖房器具を選び、冬の寒さを効率よく乗り切りましょう。
電力プランの変更も節約につながる可能性があります
エアコン暖房の電気代は、その効率的な運用とメンテナンスに大きく左右されることが分かりました。電気代の具体的な算出方法や部屋の広さによる消費電力の違いを理解すれば、より効果的な節約策を実施できるでしょう。
いっぽうで、ご契約中の電力プランの見直しや電力会社の変更も、電気代をおトクにできる可能性があります。電気代の計算には電気料金単価を使用します。この単価がより安いプランに切り替えることで、エアコン暖房の使い方を変えずに電気代をおトクにできるかもしれません。
電気料金単価30円/kWhで計算した消費電力1,000Wのエアコン暖房の1か月の電気代は7,200円でしたが、電気料金単価が27円/kWhになると6,480円になります。電力プランによっては時間帯によりさらにおトクな電気料金単価を設定している場合もありますので、電力プランの切り替えも検討することで、電気代を抑えることができるかもしれません。
今回は冬にかかせないエアコン暖房について、電気代の目安や節約のコツなどをお伝えしてきました。ご自身にあったエアコンの使い方や、他の暖房器具もうまく活用し、寒い冬をおトクに過ごしましょう。