こんにちは、まちエネです。
ご家庭での調理の際、加熱調理と言えばガスコンロが主流でしたが、最近はIHクッキングヒーターの普及が進んでいます。マンションやアパートなどの賃貸住宅でも、最初からIHクッキングヒーターが設置されている物件も多くなっています。
これからご家庭にIHクッキングヒーターを導入しようと考えている方、お引越しなどの新居にIHクッキングヒーターが設置されている方は、電気代がどうなるのか心配されているかもしれません。
実際のIHクッキングヒーターの電気代は、使用するモデルや火力によって変動します。火力調節を加味したIHクッキングヒーターの消費電力は120W~3,000Wとなります。電気料金単価を30円/kWhと仮定すると、IHクッキングヒーターの1時間の電気代は3.6円~90円になります。
こちらのコラムではIHクッキングヒーターの仕組みを解説するとともに、ガスコンロのガス代との比較を行い、具体的な電気代についてご紹介していきます。
IHクッキングヒーターは電気で発生させる熱を使う
IHクッキングヒーターは、電磁誘導という技術を使い鍋の底を直接温める仕組みを持っています。この仕組みは、導線に交流電気を流し、磁力線を発生させることで、近くに置いた金属が発熱するというものとなります。
直接火をあてて加熱するガスコンロとは違い、IHクッキングヒーターは火を使わないため、安全性が高いのが特徴です。
またこの電磁誘導による加熱は、エネルギー効率がとても高いことも特長です。電磁波が直接鍋底を温めるため、エネルギーロスが少なく、効率よく調理ができます。
IHクッキングヒーターの電気代
それでは、IHクッキングヒーターの電気代を見てみましょう。電気代は消費電力(W)と電気料金単価などを用いた以下の計算式で求めることができます。
IHクッキングヒーターの電気代 = 消費電力(W)÷ 1,000 × 使用時間(h)× 電気料金単価(円/kWh)
IHクッキングヒーターの消費電力は火力によって変わるため、それぞれの火力での電気代を計算してみます。
例として、パナソニックのトリプルワイドIHクッキングヒーターS13EB4S3Kを取り上げてみますと、火力と消費電力、電気代の関係は以下のようになります。(パナソニックの取扱説明書を参考に算出)
火力 | 消費電力 | 1時間の電気代 |
弱火 | 120W~370W | 3.6円~11.1円 |
中火 | 500W~1,000W | 15円~30円 |
強火 | 1,450W~3,000W | 43.5円~90円 |
IHクッキングヒーターの電気代は火力により大きく変化することが分かります。火力が大きくなるほどに電気代も高くなることは覚えておきましょう。
ガスコンロのガス代
ガスコンロのガス代を計算するには、次の式を使用します。
ガス代 = 出力(kW)× 3.6MJ/h × 使用時間(h)÷ ガスの発熱量(MJ/㎥)× ガス料金(円/㎥)
ご自宅で使用しているガスコンロのガス代を確認したい場合は、取扱説明書で出力(ガス消費量)を確認し、この式を使って計算してみてください。
IHクッキングヒーターのメリット
火災リスクが低く安全
IHクッキングヒーターは、火を使わないため、調理中に発生する火災のリスクが大幅に減少します。特に、小さな子どもがいるご家庭や、高齢者が利用する場合でも安心して使用できる点が大きなメリットです。火災の心配がないため、長時間の煮込み料理なども安全に行えます。
温度調整がかんたん
IHクッキングヒーターは温度調整がしやすく、設定温度を正確に維持できるため、料理の失敗が少なくなります。
例えば、ガスコンロであれば細かい火加減の調整が必要な煮物や繊細な料理も、IHなら簡単に仕上げることが可能です。また、加熱のオン・オフが瞬時に行えるため、鍋の焦げ付きや沸騰して吹きこぼれるのを防ぐことができます。
掃除やお手入れがしやすい
IHクッキングヒーターのトッププレートは平らで掃除がしやすいデザインになっています。調理中にこぼれた料理や油はねも簡単に拭き取ることができ、常に清潔な状態を保てます。
キッチンが暑くなりにくい
IHクッキングヒーターの大きなメリットのひとつは、キッチンが暑くなりにくいことです。ガスコンロの場合、火を使うためどうしてもキッチン全体が暑くなりがちですが、IHクッキングヒーターは火を使わずに鍋やフライパンだけを加熱するので、キッチンが暑くなるのを防げます。
特に夏場は暑さに悩まされることが少なくなり快適に調理ができるため、この点が非常に助かります。
IHクッキングヒーターのデメリット
特定の調理器具のみ使用可能
IHクッキングヒーターは、鉄やステンレス製など、電磁誘導に反応する調理器具しか使用できません。そのため、アルミや銅、ガラス製の鍋やフライパンは使えない場合があります。これにより、IH対応の調理器具を新たに購入する必要があり、既存の器具を使えないことが不便に感じることもあるでしょう。
初期費用の高さ
IHクッキングヒーターはガスコンロに比べて初期費用が高い傾向があります。特にビルトインタイプのIHクッキングヒーターを導入する際には、設置や設備工事が必要となり、その費用も考慮しなければなりません。
ガスコンロのメリット
火力が見えるので使いやすい
ガスコンロのメリットは、炎を確認しながら調理温度を調整できるため、非常に使いやすい点です。弱火、中火、強火の感覚を視覚的に捉えられるので、料理に慣れている方にとっては、慣れ親しんだガスコンロのほうが調理しやすいと感じるかもしれません。
対応する調理器具を選ばない
もう1つの大きなメリットは、対応する調理器具を選ばないことです。鉄鍋やアルミの鍋、土鍋など、材質や形状を問わず、どんな鍋やフライパンでも使用できるので、新たに専用の調理器具を購入する必要がありません。これにより、手持ちの調理器具をそのまま使えて経済的です。
また、新しく気に入った調理器具を見つけた際にも、素材を気にせず購入できます。
あぶる・焦げ目をつけるといった調理ができる
ガスコンロのメリットには、多彩な調理が可能であることも挙げられます。ガスコンロは、仮に五徳の上に調理器具を置かなくても火が届くため、フライパンをあおってチャーハンの水分を飛ばしたり、食材を火にかざしてあぶったり、焦げ目をつけたりといった調理にも対応できます。
停電時にも使える
多くのガスコンロは乾電池式のため、停電してしまった時でも調理を続けることができます。ただし、一部のガスコンロには電源接続が必要な機種もあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
停電時でもガスコンロが使えれば、お湯を沸かすことができ、ある程度の調理はできますので安心です。
ただし、夜間など暗い中での調理は危険ですから、一時的な停電の場合であれば、電気が復旧するまで待つようにしましょう。
ガスコンロのデメリット
重大な事故につながるおそれがある
ガスコンロのデメリットとして、うっかり火を消し忘れると火災につながる可能性がある点があげられます。センサー付きの製品が増えてはいるものの、調理中に着用している衣服の素材によっては、火が燃え移る危険性もあります。また、ガス漏れや不完全燃焼が発生すると、一酸化炭素中毒になるリスクもあります。
キッチンが暑くなってしまう
ガスコンロは調理時の熱が空気に伝わるため、部屋の温度を上げてしまいます。ガスコンロで部屋が暑くなる分、エアコン(クーラー)の運転を強くしたり、設定温度を下げる必要もあるでしょう。そうなると、電気代も高くなるかもしれません。
掃除しにくい
さらに、ガスコンロは掃除がしにくいという点もデメリットです。ガスコンロの天板を掃除する際は、五徳などを外す必要があります。また五徳などの各パーツは汚れやすいため、取り外して掃除、再度装着を繰り返す必要があります。
少しだけ拭き掃除したいという場合でも、毎回パーツの取り外しをしなくてはいけないのは手間に感じられるかもしれません。
IHクッキングヒーターの電気代を節約するテクニック
IHクッキングヒーターは初期費用が高くなる傾向にあり、価格が気になって導入を悩まれている方もいらっしゃるでしょう。IHクッキングヒーターの使い方を工夫し、節電することでランニングコストを減らしてみましょう。
節電モードを活用する
まずは、IHクッキングヒーターに搭載されている節電モードを利用してみましょう。節電モードを使うことで消費電力が抑えられ、電気代の節約につながります。
例えば、パナソニックのビルトインIHには「5,800W/4,800W/4,000W」の3段階の消費電力がありますが、節電モードを使うと「4,800W/4,000W」に切替えが可能です。また、総消費電力を自動的に調整して、電気の使い過ぎを防ぐ機能も備わっています。
参考:【ビルトインIH】「節電モード」はどのような機能ですか<便利機能> Panasonic
このように、節電モードをうまく活用することで、電気代の節約が期待できます。
IHに適した調理器具を使用する
調理の際には、IHに適した調理器具を使用することも重要です。適した器具を使うことで熱伝導率が向上し、調理時間が短縮されます。結果として、消費電力が減り、電気代の節約につながります。
ただし、アルミや銅鍋は鉄やステンレス製の鍋に比べて火力が弱くなり、調理時間が長くなる可能性があるため注意が必要です。
余熱を利用する
調理後の余熱をうまく利用することでも節電が可能です。IHクッキングヒーターの電源を切った後でも、調理直後の鍋はまだ熱を保っており、その熱を使って食材に火を通すことができます。
また、鍋にふたをすることで熱が逃げにくくなり、調理時間が短縮される効果も期待できます。このように余熱を活用することで、無駄な電力消費を抑えることができるでしょう。
電子レンジと併用する
IHクッキングヒーターと電子レンジを併用することも、電気代の節約に役立つ方法です。
電子レンジは、野菜や肉の下ごしらえに便利で、下茹でが必要な食材を電子レンジで加熱しておくと、IHクッキングヒーターの使用時間を短縮でき、電気代の節約にもつながります。さらに、短時間煮込みたい料理も電子レンジを活用することで、調理時間を短縮できるため、効率的かつ経済的です。
電子レンジの電気代や節約のコツについてはこちらのコラムをご参考ください。
電力会社の切替えも電気代をおトクにできる
IHクッキングヒーターの使い方を工夫することで、節電効果があることをご紹介してきましたが、ご契約されている電力会社の切替えも電気代をおトクにできるかもしれません。
電気代の計算には電気料金単価を使います。この電気料金単価がもっと安い電力会社・電力プランを選択することで、IHクッキングヒーターの使い方は変えずに電気代をおトクにすることができるのです。
時間帯によって電気料金単価が変わるプランなど、様々な電力会社が異なる特徴を持つ電力プランを提供しています。IHクッキングヒーターの電気代について考えるとともに、ご契約中の電力会社・電力プランも見直してみると良いでしょう。