こんにちは、まちエネです。
夏の暑さが増すにつれて、お部屋をどうやって涼しくするか悩みますね。多くの家庭ではエアコンがその役割を担っていますが、エアコン以外にも冷房機器として注目されているものがあります。それがスポットクーラーです。
スポットクーラーはエアコンと比較して、どのような特徴やメリットがあるのでしょうか?また、電気代の観点から見ると、どちらが経済的なのでしょう?
まず簡単にスポットクーラーにかかる電気代をお伝えしますと、スポットクーラーを1時間使うと20.1円、24時間つけっぱなしにすると482.4円かかります。(電気料金単価は30円/kWhにて計算)
このコラムでは、スポットクーラーの基本的な機能や特徴を解説し、エアコンとの比較を通して、どちらがあなたの家庭にとって最適かを考えていきます。暑い夏を快適に過ごすための参考にしていただければと思います。
スポットクーラーとは?

スポットクーラーは、特定の場所や小さなスペースを冷やすために設計された冷房機器です。
一般的なエアコンとは異なり、部屋全体を冷やすのではなく、冷風を直接必要な場所に送り込むことで、効率的に空間を涼しくします。オフィスや作業場、自宅の一部屋など、限られたスペースでの使用に適しています。
スポットクーラーは持ち運びのできる性質からポータブルクーラーとも言われていることがあります。
構造と動作の仕組み
スポットクーラーの基本的な構造は、コンプレッサー、冷媒、熱交換器、ファンで構成されています。
エアコンと同様に、冷媒が蒸発する際に周囲の熱を吸収し、冷たい空気を作り出します。この冷たい空気はファンを通じて外部に送り出され、空間を冷やします。同時に、熱交換器で発生した熱は別のファンによって排出されます。
使用場所と用途
スポットクーラーは、以下のような場所やシーンでの使用が一般的です。
- オフィスや書斎:集中して仕事をしたいときに、自分の周りだけを涼しくできます。
- ガレージや作業場:部屋全体を冷やす必要がない作業スペースでの利用に最適です。
- ベッドサイドやリビングの一部:家族で過ごす際、冷房では寒く感じてしまう方がいるときなど、暑いと感じる人にだけ冷風を送ることができます。
スポットクーラーのメリット

設置がかんたんですぐ使える
スポットクーラーは、特別な工事をしなくてもすぐに使えるのが大きなポイントです。電源につなげばすぐに冷風が出るので、「届いたその日から使える手軽さ」が魅力です。壁に穴をあけたりする必要がないため、賃貸のお部屋でも使いやすいのもメリットです。
初期費用が安くすみやすい
壁に取り付けるタイプのエアコンと比べて、本体価格が安めで、取り付け工事の費用もかかりません。引っ越しが多い方や、とりあえず夏を乗り切りたいという方にもおすすめです。
持ち運びができて便利
キャスターがついているタイプが多く、好きな場所に移動させて使えるのもスポットクーラーのいいところ。たとえば、昼間はリビング、夜は寝室といったように、1台でいろんな部屋に使えるのが便利です。
スポットクーラーのデメリット
冷やせる範囲がせまい
スポットクーラーは名前のとおり、「スポット(部分)」を冷やすのが得意です。部屋全体をしっかり冷やす力はあまりないので、広い部屋や天井の高い部屋には向いていません。逆に、足元や作業スペースだけ冷やしたいというときにはぴったりです。
部分的な冷房能力を持っているので、場面にあわせて使い分けましょう。
熱を外に逃がす工夫が必要
冷たい風といっしょに熱い空気(排熱)も出るため、ふつうはダクト(ホースのようなもの)で窓から外に逃がす必要があります。ダクトをつけずに使うと、冷やしているのに部屋が暑くなってしまうこともあります。
音が気になる場合がある
スポットクーラーは、エアコンに比べて運転音が少し大きめです。本体に冷やすための機械が入っているため、どうしても動作音が出てしまいます。特に寝室で使いたい方や音に敏感な方は、購入前に「静音タイプ」かどうか確認しておくと安心です。
本体が大きく、設置スペースが必要
スポットクーラーのデメリットとして、本体サイズや設置スペースの確保が挙げられます。
たとえば、アイリスオーヤマの「IPP-2225U」は幅30cm×奥行31cm×高さ70cmほどあり、重量も約22kg。小型ではあるものの、部屋に置くと一定の存在感があります。
また、効率よく排熱するためには、前後に約50cm、左右にも30cmほどのスペースを空けることが推奨されており、設置場所を選ぶ点も注意が必要です。
キャスター付きで移動はできますが、置き場所によっては人の動線を妨げる可能性もあるため、設置前に確認しておきたいポイントです。
参考:ポータブルクーラー2.2kW IPP-2225U ホワイト 110820│アイリスオーヤマ公式通販アイリスプラザ
長時間の使用は電気代がかさむことも
スポットクーラーは便利な反面、長時間使い続けると電気代が高くなってしまう可能性があります。
消費電力は機種によって異なりますが、一般的には壁掛けエアコンに比べて効率が劣るため、同じ時間稼働させるとより多くの電力を使うことがあります。
電気代を抑えるためには、「料理中だけ」「寝る前の1~2時間だけ」「昼間の暑さがピークの時間だけ」など、短時間・ピンポイントでの使用がおすすめです。
スポットクーラーと壁掛けエアコンの比較
ここからは、スポットクーラーとエアコンの比較をしてみましょう。まずはそれぞれ電化製品として比べてみます。
スポットクーラー | エアコン | |
設置の手軽さ | 工事不要。コンセントに差すだけで使用可能。 | 工事が必要。設置には専門業者の手配が必要。 |
移動の利便性 | キャスター付きで部屋間の移動が簡単。 | 固定設置のため移動不可。 |
冷却能力 | 局所的な冷却に適している。 | 部屋全体を均一に冷却可能。 |
価格 | 1万~10万円程度 | 3万~50万円程度。 |
電源 | 一般的なコンセント | エアコン専用のコンセントが必要。 |
スポットクーラーの魅力は、取り付け工事や室外機が不要で、一般的なコンセントで使用できること、さらに持ち運びが可能なことです。いっぽう、壁掛けエアコンは広範囲を冷却できますが、持ち運びができず価格も高額です。
また、スポットクーラーと壁掛けエアコンは、使い方が異なります。スポットクーラーは場所を選びませんが、冷却できるのは局地的であるのに対し、壁掛けエアコンは部屋全体を冷やすのに適しています。そのため、使用目的に応じて使い分けると良いでしょう。
さらに、壁掛けエアコンは家電リサイクル法の対象商品なので、処分する際は販売店などに引き取ってもらう必要があります。新しい壁掛けエアコンを取り付ける際には、古いものを回収してもらえる点も覚えておきましょう。
なお、スポットクーラーは家電リサイクル法の対象外ですが、フロンを含む場合は専門業者に相談して処分する必要があります。
参考:対象廃棄物(家電4品目)一覧 一般社団法人 家電製品協会
スポットクーラーの電気代

それでは実際にスポットクーラーを使った際の電気代を計算してみましょう。電気代は以下の式から求めることができます。
電気代 = 消費電力(W)÷ 1,000 × 使用時間(h)× 電気料金単価(円/kWh)
スポットクーラーの消費電力はモデルによって様々ですが、今回は例としてアイリスオーヤマのairwill IPP-2224Sを参考に計算してみます。こちらの消費電力は670Wとされています。
使用時間 | 電気代 |
1時間 | 20.1 円 |
24時間(1日) | 482.4 円 |
スポットクーラーを1時間使うと20.1円、24時間つけっぱなしにすると482.4円かかることがわかりました。もしも、1か月間つけっぱなしで使用した場合には、14,954円かかるという計算になります。
もちろん、スポットクーラーが同じ消費電力で運転することはないですし、ある程度部屋が涼しくなれば電源をいったん切ることもあるでしょう。実際にはここまでの電気代がかかることはありませんが、消費電力の大きな家電であることから、使い方には注意が必要です。
スポットクーラーとエアコンの電気代比較

それではスポットクーラーとエアコンでは、どちらが電気代の観点から見ておトクなのでしょうか。エアコンのモデルはアイリスオーヤマからIRA-2205Rを参考にしてみます。こちらの定格消費電力は540Wとなっています。
先ほどと同じく電気料金単価は30円/kWhで計算をしてみると以下のようになります。
スポットクーラー | エアコン | |
1時間 | 20.1 円 | 16.2 円 |
24時間(1日) | 482.4 円 | 388.8 円 |
1か月(1日8時間使用、30日) | 4,984円 | 4,017円 |
結果は、スポットクーラーと比較してエアコンの方が電気代は安くなるということがわかりました。
スポットクーラーは壁掛のエアコンに比べると電気代が高い傾向にありますので、使用する場合には短時間のみつけるようにするなどの工夫が必要になります。
エアコン(冷房)の電気代と節約のコツについてはこちらのコラムで詳しくご案内しておりますので一度ご確認ください。
スポットクーラーの選び方

用途に合わせて選ぶ
スポットクーラーには「家庭用」と「業務用」があり、使う場所や目的に合わせて選ぶことが大切です。
家庭用スポットクーラー
家庭で使うなら、コンパクトで持ち運びやすいタイプがおすすめです。多くのモデルにキャスターや持ち手が付いているので、リビングや寝室など必要な場所に移動して使えます。中には、卓上に置けるような小型タイプもあります。
電源は、家庭用コンセントで使える100V対応が一般的。冷房能力は0.7kW〜2.0kW程度で、室内をしっかり冷やすには十分です。また、排気ダクトやホースが付属していて、排熱の処理がしやすいのも特徴です。
本格的な冷房能力では業務用に劣るものの、手軽に使えて扱いやすい点が家庭用の魅力です。
業務用スポットクーラー
工場や作業場、イベント会場など広くて熱がこもりやすい場所で使うなら、業務用スポットクーラーがぴったりです。冷房能力が高く、広いスペースでもしっかり涼しくしてくれます。
ただし、本体サイズは大きめになる傾向があり、設置スペースに注意が必要です。電源は200V対応のモデルが主流ですが、100Vで使えるモデルもあるので、用途や電源環境に合わせて選びましょう。
冷房能力をチェックする
まず大切なのは「どれくらい冷やせるか」、つまり冷房能力です。これは「kW(キロワット)」や「畳数の目安」で表されていて、部屋の広さに合ったものを選ぶことが大事です。
広い部屋で能力が小さいと、なかなか涼しくならなかったり、無理に動かして電気代が高くなることもあります。
また、日当たりが良い部屋や、屋根に近い部屋などは熱がこもりやすいため、少し余裕を持った冷房能力のものを選ぶと安心です。
静音性も忘れずに
スポットクーラーは本体に冷却の機械が入っているため、どうしても動作音が出ます。そのため、静音性も大事なポイントです。
特に、寝室やテレワークの部屋など静かに過ごしたい場所で使うなら、「静音モード」や「低騒音設計」といった表示があるかどうかをチェックしてみてください。
口コミやレビューを見て、音の感じ方を確認しておくのもおすすめです。
スポットクーラーの節約のコツ
スポットクーラーは手軽に涼をとれる便利な家電ですが、使い方によっては電気代がかさんでしまうことも。ここでは、少しの工夫で電気代を抑えるための節約ポイントをご紹介します。
排熱ダクトはしっかり外に出す
スポットクーラーは冷風を出す一方で、熱を排出します。この排熱が部屋の中にこもると、冷却効果が下がり、無駄に電力を消費してしまいます。排熱用のダクトやホースは、必ず窓やドアの外に出して使いましょう。専用の窓パネルがあると、隙間風を防げてより効果的です。
直射日光を防ぐ
部屋に直射日光が差し込むと、室温がぐんぐん上がってしまいます。カーテンやブラインドで日差しを遮ることで、スポットクーラーの負担を減らせます。特に西日が強い午後の時間帯は、遮光カーテンの使用がおすすめです。
扇風機やサーキュレーターと併用する

冷たい空気は下にたまりやすいため、スポットクーラーだけでは部屋全体がなかなか涼しくならないことも。そんなときは扇風機やサーキュレーターを併用して、冷気を部屋全体に循環させましょう。効率よく冷やせるため、設定温度を上げても快適に過ごせます。扇風機の電気代についてはこちらのコラムも参考にしてみてください。
使用しないときはこまめに電源オフ
つけっぱなしは便利ですが、必要ないときは電源をオフにすることも大切です。外出前や就寝時など、タイマー機能を活用して自動で切れるように設定すると、電気代のムダを防げます。
フィルターは定期的にお掃除
ホコリがたまったフィルターでは、冷風の効率が落ちてしまいます。月に1回程度は、フィルターを取り外して掃除をしましょう。簡単なメンテナンスだけでも、省エネ効果が期待できます。
スポットクーラーのメリットを活かしてうまく生活に取り入れましょう

夏の暑さ対策には、壁掛けエアコンだけでなくスポットクーラーもあると便利です。スポットクーラーは電気代が高めですが、限られた範囲を短時間で効果的に冷やすのに適しています。
工事不要な点はエアコンに比べてはるかに導入しやすいといえますし、持ち運びができるため各部屋にエアコンを設置するのではなく、ご自身がいる場所に一緒にスポットクーラーを持ってくるという使い方もできます。
また、壁掛けエアコンを設置できない場所での暑さに悩んでいる方には、スポットクーラーがおすすめです。スポットクーラーを上手に活用して、快適な夏を過ごしましょう。