こんにちは、まちエネです。
家計を管理する上で、「毎月の電気代がどれくらいか」を気にしている方は多いでしょう。しかし、「毎月の電気使用量がどれくらいか」を意識している方は少ないかもしれません。電気代は電気使用量に基づいて計算されるため、実は電気代を節約するには、電気使用量をおさえることが重要なのです。
電気使用量はkWh(キロワットアワー)という単位で表わされます。
今回は、このkWh(キロワットアワー)あたりの電気代について解説するとともに、電気代の仕組みや電力会社ごとに、なぜ、このkWh(キロワットアワー)あたりの料金が異なっているかについて、詳しくご紹介していきます。
電気使用量とその単位「kWh」とは?
電気使用量とは?
「電気使用量」とは、発電時や家電製品の使用時に消費される電力量を指す言葉です。通常、この電気使用量は「kWh(キロワットアワー)」という単位で表されます。
1kWと1kWhの違いとは?
「1kWh」は、「1kW(1,000W)」の電力を1時間使用した際の電気使用量を示す単位で、「1キロワットアワー」と読みます。消費電力を表す「kW」とは異なり、「kWh」は使用した電力の総量を意味します。たとえば、1kW(1,000W)の家電を1kWh、3時間使うと3kWhとなります。
このように、「kW」は瞬間的な電力の大きさを表し、「kWh」はその電力をどれだけの時間使用したかを含めた消費量を示します。
A(アンペア)の意味とその違いについて
電力会社の料金プランには、「A(アンペア)」という用語が登場します。アンペア(A)は、電気が1秒間に流れる量、つまり電流を表す単位です。たとえば50Aという契約では、「1秒間に50アンペアの電流を流せる」ということを意味します。
電流は、水がパイプを流れる様子に例えられます。太いパイプであれば一度に多くの水が流れるように、アンペアが大きいほど一度に流せる電流が多くなります。逆に、細いパイプでは少ない水しか流れないように、アンペアが小さいと同時に流せる電流も少なくなります。
家庭でのアンペア契約は、同時に使用できる電気の最大量を決めます。20A、30Aや40Aなど、アンペア容量はいくつかの大きさに分かれており、家族構成や電気の使用状況に応じて適切な容量を選ぶ必要があります。
ブレーカーが落ちるのは、一度に使う電気の量が契約しているアンペア容量を超えたときです。もし、ひんぱんにブレーカーが落ちる場合は、アンペア容量の引き上げを検討する必要があるでしょう。
ブレーカーが落ちる原因や対処法についてはこちらのコラムで詳しく解説しております。
1kWhの料金単価の平均は31円
全国家庭電気製品公正取引協議会が示す「新電力料金目安単価」は、1kWhあたり税込み「31円」とされています。月々の電気代をより正確に把握するには、参考として、1kWhあたり31円を基準に計算してみると良いかもしれません。
ただし、この1kWhあたりの目安単価は地域や契約している電力会社、または料金プランによって異なります。そのため、検針票等でご自身の契約に適用されている電力料金単価を確認することが重要です。
参考:カタログなどに載っている電力料金の目安単価とは何ですか? 全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問 Q&A
電力会社ごとに1kWhの料金単価が違う理由とは?
2016年以前、一般家庭の電気料金は、法律で定められた方法でエリアごとに各料金単価が決められていました。しかし、2016年4月1日からの電力自由化により、電力事業への新規参入が全面的に解禁されました。
電力自由化後の電気料金は、「法令などに基づいて算定される費用」と「電力会社の裁量で決められる費用」の合計によって決まります。この裁量部分で電力会社同士の価格競争が生まれたため、各社の料金に差が生じる仕組みになっています。
電気使用量(kWh)の平均は?
では実際のご家庭では毎月何kWhの電気使用量があるのでしょう。環境省がまとめたデータでは、年間の一般家庭の電気使用量は4,175kWhとされています。こちらを1か月に換算してみますと、1か月あたりの電気使用量は約348kWhということになります。
ただし、この電気使用量の平均は日本全国の世帯から算出したものになりますので、世帯人数やライフスタイルによっては異なります。
参考:環境省家庭部門のCO2排出実態統計調査 家庭のエネルギー事情を知る 世帯当たり年間エネルギー種別消費量(固有単位)および支払金額(令和3年度)
地域別の電気使用量(kWh)の平均
地方 | 年間の電気使用量(kWh) | 月間の電気使用量(kWh) |
北海道 | 3,719 | 約310 |
東北 | 4,872 | 約406 |
関東甲信 | 3,767 | 約314 |
北陸 | 5,833 | 約486 |
東海 | 4,286 | 約357 |
近畿 | 4,044 | 約337 |
中国 | 4,853 | 約404 |
四国 | 4,872 | 約406 |
九州 | 4,433 | 約369 |
沖縄 | 3,842 | 約320 |
参考:環境省家庭部門のCO2排出実態統計調査 家庭のエネルギー事情を知る 地方別世帯当たり年間電気消費量(固有単位)(令和3年度)
北陸や東北では他の地域に比べて電気使用量が多いことがわかります。これは寒冷地で暖房の需要が高いことが影響していると考えられます。
いっぽうで、北海道の電気使用量は少なくなっています。この背景には、北海道では暖房には石油ストーブやガスヒーターなどの電気以外の設備が多く使われるためと考えられます。
電気代の計算方法と内訳
電気代は、基本料金と使用した電力量(kWh)に応じた従量料金で構成されています。さらに、燃料費調整額も加わるため、毎月の電力量料金の単価は変動します。電気代を正確に把握するために、各項目の内訳を確認しておきましょう。
電気代=基本料金+電力量料金±燃料費調整額+再エネ賦課金
基本料金
基本料金は、電気使用量に関係なく毎月固定でかかる費用です。月ごとに定められた金額が請求されます。基本料金の決定方法は、主に以下の2つです。
- アンペア制: 契約しているアンペア容量によって料金が決まります。
- 最低料金制: アンペア容量に関係なく、一律の料金が設定されています。
電力量料金
電力量料金は、消費した電力量(kWh)に基づいて計算されます。消費した電力量に電力量料金単価(円/kWh)を掛け合わせて算出され、多くの電力会社では「120kWhまで」「120kWhを超えて300kWhまで」「300kWh以上」といった3段階の料金設定を採用しています。
燃料費調整額
燃料費調整額は、発電にかかるコストの変動を反映させるための料金で、電力量料金に含まれます。1kWhあたりの単価が決まっており、月ごとの電力消費量に応じて総額が計算されます。この単価は毎月、発電コストの増減に応じて変動します。
燃料費調整額について詳しくはこちらのコラムで解説しておりますので、ご参考にしてください。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)は、日本における再生可能エネルギーの普及を支援するために国民が負担している料金です。計算式は以下の通りです。
- 再エネ賦課金 = 各家庭で使用した電気量(kWh)×再エネ賦課金の単価
この単価は国によって決定され、1年間(5月~翌年4月)は固定されています。全国どの電力会社でも同じ単価が適用されます。
再生可能エネルギー発電促進賦課金についてさらに詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
そのほかにも電気代に含まれる項目
その他に、容量拠出金相当額が含まれます。容量拠出金は、将来の発電所の建設や維持を促進し、安定した電力供給を確保するための費用です。容量拠出金についてはこちらのコラムで解説しておりますので、ご参考ください。
家電製品の消費電力量と電気代の計算方法
家電製品の消費電力量(kWh)は、「消費電力(kW)×使用時間(h)」で求めます。この消費電力量に1kWhあたりの料金単価を掛けることで、家電製品ごとの電気代の目安が算出できます。ここでは、代表的な家電製品の消費電力量と電気代をシミュレーションしてみましょう。
※すべて1kWhあたり31円(税込)で計算しています。
エアコン
通常、エアコンの消費電力はモデルに依存しますが、ここでは1,000W(1kW)と仮定します。このエアコンの1時間の電気代は31円となります。また8時間では248円、24時間つけっぱなしでは744円となります。
エアコンの電気代や節約方法はこちらのコラムで解説しておりますのでご参考ください。
冷蔵庫
冷蔵庫には「年間消費電力量」が記載されており、1日あたりの電気代は次の計算式で求めます。
- 1日あたりの電気代:年間消費電力量(kWh)×31円/kWh ÷365日
例えば、年間消費電力量が330kWhの冷蔵庫の場合、1日あたりの電気代は約28円です。最新モデルの冷蔵庫ほど、省エネ機能により消費電力が低く抑えられています。
冷蔵庫の電気代と節約方法はこちらのコラムで解説しておりますので、ご参考ください。
電子レンジ
電子レンジの本体に表示されている「定格高周波出力」は消費電力ではなく、加熱に使うエネルギーの強さを示します。一般的な消費電力は1,000~1,200W前後で、1,200W(1.2kW)の電子レンジを1分間使用した場合、電気代は約0.62円になります。
電子レンジの電気代と節約方法はこちらのコラムで解説していますので、ご参考ください。
ドライヤー
ドライヤーは短時間でも消費電力が高いため、複数人で毎日使うと電気代が増加します。一般的な消費電力は600W~1,200Wで、1200W(1.2kW)のドライヤーを10分間使用した場合の電気代は約6.2円です。家族3人がそれぞれ10分ずつ使用すると、1日あたりの電気代は約18.6円です。
ドライヤーの電気代と節約方法はこちらのコラムでご紹介しておりますので、ご参考ください。
電気代を節約するコツ
家電製品の使い方を工夫
日々の節電は、エネルギーコストを削減するための基本的な取り組みです。ライフスタイルや家電製品の使い方を見直すことで、消費電力を効率的に抑えましょう。
また、家電製品は電源がオフの状態でも電力を消費することがあります。このような待機電力は微量ですが、年間では約7,000円かかるとされており、見過ごしてはいけないポイントです。長時間の外出時や使用しない際には、コンセントから抜く習慣をつけると効果的です。
コンセントに挿しっぱなしでかかる電気代や、待機電力を抑えるコツについてはこちらのコラムをご参考ください。
家電製品を新しいモデルに買い替える
最近の家電製品は、10年前に比べて大幅に省エネ性能が向上しています。経済産業省エネルギー庁の発表では、冷蔵庫は10年前と比べると約28〜35%の省エネ、照明器具では、電球形LEDランプは白熱電球と比べると約86%の省エネ性能を持っているとされています。
そのため、古い家電製品を使い続けるよりも、省エネ性能の高い新しい家電製品に買い替える方が、電気代を効果的に節約できる可能性があります。
参考:家庭向け省エネ関連情報 機器の買換で省エネ節約 経済産業省 資源エネルギー庁
電気料金プランの見直しと比較
定期的に電気料金プランを見直しすることは、電気代の節約につながる可能性があります。電力会社は様々なプランを提供しており、ご自身の生活スタイルに合ったプランを選ぶことで、コストをおさえることができるかもしれません。
例えば、夜間に電力を多く使う家庭では、夜間割引プランが電気代の節約に役立つことがあります。また、一定の使用量を超えると割引が適用されるプランもあるため、使用状況に合ったプランを選ぶことが重要です。
プラン選択のポイント
まずは、毎月の電気使用量や使用時間帯を把握することが重要です。そのデータを基に、各電力会社の料金プランを比較します。
例えば、使用量が多いほど単価が割引されるプランや、季節によって料金が変動するプランなどが提供されています。これにより、生活スタイルや電気の使用パターンに最適なプランを選ぶことができます。
電気料金プランを定期的に見直し、自分の生活スタイルに合ったプランを選ぶことが重要です。これにより、電気代を効果的に節約し、家計にゆとりを持たせることができるでしょう。